ついにヤマトが上期赤字転落「値下げ戦略」で窮地 4期連続減益"負のスパイラル"招いた強気計画
東洋経済オンライン / 2024年11月11日 9時0分
4期連続の営業減益、4期連続の下方修正。当初から懸念されていたとおり、やはり計画達成には無理があった。
宅配便大手のヤマトホールディングス(HD)は11月5日、2024年4~9月期の決算を発表した。売上高に相当する営業収益は前年同期比3%減の8404億円、本業の儲けとなる営業損益は150億円の赤字(前年同期は123億円の黒字)。当期純損益も111億円の赤字(同53億円の黒字)に転落した。
消費マインドが盛り上がらない中で営業を強化したが、宅配便の収入は想定を下回り、コスト削減も追いつかなかった。ヤマトが上期に赤字を計上するのは、残業代の未払い費用の影響があった2018年以来となる。
従来の業績予想は下期に過去最高水準の利益を出す計画だったが、ヤマトは決算と同時にこれを下方修正。2025年3月期の通期営業収益は1兆7300億円(前期比1.6%減)、営業利益は100億円(同75%減)とした。実に4期連続の下方修正となる。
法人向けの値下げが響く
苦戦の背景には、主に2つの要因がある。
1つ目は、荷物の量を確保するために値下げを進めたことだ。宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EC事業者向けの「EAZY」)の個数は9.4億個で前年同期比3.5%増となった。大口法人向けで新規獲得が進んだためだ。
しかしこれは、強力な値下げを武器に営業した影響が大きい。値下げの副作用はきつく、単価は708円と同12円減少。個人や小口法人向けの数量もふるわず、宅配便事業は減収に終わった。ロジスティクス事業も減収となり、国際輸送事業は微増で宅配便の苦戦を補うことはできなかった。
2つ目はコスト面だ。ラストワンマイルの領域でコスト削減を進めたが、宅配便の単価が下落したことに加え、一部の輸送コストの増加、今期に就航した貨物専用機の導入費用と赤字影響(71億円)も響いた。
数年前からヤマトは、期初に強気計画を発表しては下方修正を繰り返してきた。栗栖利蔵副社長は「現場からの報告を基に数字を積み上げたが、多少ストレッチがあったかもしれない」としつつ、「新規顧客を安めに獲得したことで収益が追い付かなかった。単価はストレートに利益に直結するので大きく影響した。積載効率が落ち、コストも思うようにコントロールできなかった」などと説明した。
下期は一段と効率化を進め、全社でコスト削減を急ぐ。ネットワークの構造改革に伴う拠点の投資や改修、デジタル化等の投資計画も縮小し、黒字化を目指す方針だ。
構造改革に着手
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