自死の道を選んだ「就職氷河期世代」の夢と現実 36歳で早逝した早稲田OBに何が起きたのか
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 8時0分
卒業後は、契約社員や絵本作家としての活動で食いつないできた。今は、リンゴの行商で主な生活費を捻出している。離婚も経験し、今でも生活は楽ではない。だが、加藤にはどんな苦境も前向きに捉えるメンタリティーがある。
声をかけてくれる人
そんな加藤でも現在の境地を見いだすまでには、どん底まで落ち込む時期が幾度もあった。だから「岩井くんの心情も想像できる」という。浪人生活、就活、そして「妖怪を目指すべきか」と本気で悩んだとき。自尊心が低くなりかけると、そばにいる誰かが加藤を肯定し、そっと後押ししてくれた。
妖怪・加藤はこう訴える。「社会から切り離されたと感じたら、人間は弱くなる。重要なのはお金や地位、収入だけではない。いろんな評価軸があっていい。人生に迷ったとき、『大丈夫だ』と声をかけてくれる人がいるだけでも、心は救われるはずだ」。
有名な大学を卒業しようと、正社員になろうと、充足感に満ちた人生が待っているとは限らない。人の心を救うのは、結局のところ、人とのつながりなのではないか。
取材後、最近疎遠になっていた早稲田時代の友人を食事に誘ってみた。都内で独身生活を送っている沖縄県出身の彼はこう話し、表情を緩ませた。
「落ち込んだ時期もあったけど、今はちょっと元気になった。連絡、ありがとう」
=敬称略=
鈴木 貫太郎:ジャーナリスト
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