星野リゾート、総スカン「大学1年でも内定」の意義 学生や採用担当者には不評だが隠された意図がある?
東洋経済オンライン / 2024年11月14日 9時20分
「1年生だと、採用面接でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を聞けません。ということは、コウチカ・チュウチカを聞くんですか。1年生の応募者からいったいどうやって優秀な人材を選べばよいのか、まったくイメージが湧きません」(IT)
「究極の青田買いですね。当社は、同業他社の青田買いと一線を画すという採用方針です。仮に将来、星野リゾートのやり方が主流になったとしても、1年生の頃からシコシコと就活に勤しむような学生を採用したくありません。それで新人を採れないというなら、全員中途採用で良いと思っています」(商社)
星野リゾートで採用担当をやりたくない
ここで、個人的に印象に残ったのは、「星野リゾートの採用担当者は本当にお気の毒。私は絶対に星野リゾートで採用担当者をやりたくありません」と結論付けた次のコメントです。
「いま新卒採用では、インターン・会社説明会・面接・内定者フォローなど多大な労力を掛けています。私たち採用担当者がフラフラになりながらも何とか頑張れているのは、ちゃんと入社し、活躍してくれる学生がいるから。1年生に内定を出して3年間親身にフォローして他社に逃げられたら、ショックで立ち直れないと思います」(素材)
このように、星野リゾートの新制度に大学生はあまり魅力を、採用担当者はまったくメリットを感じていません。いまは星野リゾートだけの動きですが、これに追随する企業が多数出てきたら、政府も何らかの規制に乗り出すことでしょう。ということで、星野リゾートの新制度が大きく広がることはなさそうです。
さて、ここからは、筆者の考察です。まず、総スカンとも言える星野リゾートの新制度ですが、プロモーション戦略としてはなかなか秀逸だと思います。
星野リゾート・星野佳路社長は、旧態依然とした体質のホテル業界にあって、数々の斬新な取り組みで成長してきました。今回の新制度も、「さすが星野さん、発想が斬新だし、タブーを恐れない姿勢は素晴らしい!」と、革新的な企業イメージをさらに高めました。採用活動のコストは上がるものの、宣伝効果ですでに十分ペイしているでしょう。
そもそも新卒一括採用を続けるべき?
それよりも筆者は、今回の新制度が発端になって、「そもそも新卒一括採用を今後も続けるべきなのか?」という議論が活発になることを期待します。新卒一括採用は日本独特の雇用慣行で、近年その弊害が目立っているからです。
日本と違ってアメリカでは、学生が在学中の早期に内定をもらい、卒業後すぐに働き始めるというのは一般的ではありません。すぐに働こうと思ってもよい働き口をなかなか得られないので、多くがインターンでスキルと経験値を高めることからキャリアをスタートします。
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