トランプ再選で「ドイツ経済悪化」3つのリスク 1期目より2期目のほうがリスクが大きい理由
東洋経済オンライン / 2024年11月14日 8時40分
ショルツ氏が政権引き延ばしに動く一方、FPDは内閣不信任が可決される前に連立政権の退陣と早期解散、総選挙を行うことを強く要求している。それでも連邦議会選挙は最短で2月に前倒しすることしかできず、トランプ政権発足には間に合わない。
与党返り咲きの可能性の高い最大野党で中道右派の「キリスト教民主同盟(CDU)」とバイエルン州の姉妹政党「キリスト教社会同盟(CSU)」も圧力をかけている。
せめぎ合いが続くドイツだが、トランプ再選は経済的に3つのマイナス要因となる可能性がある。
1つは、アメリカの北大西洋条約機構(NATO)脱退リスクである。アメリカはNATOへの拠出金で突出しているが、トランプ氏は第1期政権でNATO加盟国の分担金増額を迫った経緯があり、今回の大統領選でも「自国を、本腰を入れて守る気のない国をアメリカは守らない」と発言している。
NATOは今年4月、大統領選に左右されない向こう5年間の、最大1000億ドルに上るウクライナ軍事支援計画をまとめた。欧州議会は最大350億ユーロを承認しているが、実際の拠出額は加盟国間の協議を踏まえて決めるため、ドイツの負担が増すのは必至と見られている。ウクライナ紛争で提供した武器、訓練、防空支援、人道支援などの総額は、2023年までに約1130億ドルとも見積もられている。
アメリカのNATO離脱はドイツにとっては背筋が凍るような話だ。戦後、アメリカの守りあっての国防との考えが定着していたドイツにとって、ウクライナ紛争以降の自国自主防衛の流れに重なるアメリカの撤退は、決定的な方向転換を迫ることになる。停滞するドイツ経済を圧迫するのは確実と見られる。
リトアニアなどのバルト3国、ポーランドなどは安全保障面でドイツを当てにしており、アメリカがNATO脱退後、これまで以上のドイツの責任を要求してくる可能性があり、これはさらなる経済的負担につながりかねない。
関税引き上げで中国製品が流れ込む
2つ目は、ヨーロッパからの輸入品に対する関税の引き上げだ。ヨーロッパでは目下、“トランプの貿易戦争2.0”は、第1期よりも悪い結果をもたらすと見られている。理由の1つはアメリカから締め出された中国製品が世界市場にあふれるとの見方が広がっているからだ。
事実、中国製電気自動車(EV)は、低価格でヨーロッパ市場を席巻しており、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は、ヨーロッパにおける急激な中国製EV拡大と、EVシフト失速の打撃で国内3工場の閉鎖に追い込まれた。今後、トランプ氏がアメリカに流入する中国製品を関税で締め出せば、生産過剰なさまざまな中国製品がヨーロッパに流れ込んできかねない。
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