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セガゲーム原作ドラマ「龍が如く」酷評は正当か 実写で"ヤクザ"を描くことが難しくなった現実

東洋経済オンライン / 2024年11月15日 13時30分

生身の役者が演じる醍醐味をベテラン俳優たちも担っています。真島吾朗役を青木崇高が好演し、東城会会長を佐藤浩市、堂島組組長を加藤雅也、近江連合会長を宇崎竜童が演じ、そして桐生たちの父親代わりでもある風間新太郎という重要な役どころを唐沢寿明が務めています。

銃の撃ちあいが実は多かった

そもそも、セガ「龍が如く」のドラマ化を発案したのはAmazon MGMスタジオ本国のアメリカ側です。監督を務めた武正晴氏はシナリオ作りの段階から参加したそうで、「海外の方がこの企画を立ち上げたことにまずは興味を持ちました。そこに面白さがあると思った」と話しています。

Netflixオリジナルドラマの「全裸監督」を手掛けた武監督ですから、グローバル配信が前提となる日本を舞台にしたドラマ作りに関心を持つのは当然なのかもしれません。武監督にとっては人気ゲーム原作という条件だからではなく、アメリカの目線で日本人を描く物語だからこそ“乗っかる”ことになったわけです。

聞けば、シナリオ作りの共同作業は半年ほどかけて取り組まれたとか。初期段階では脚本に対して「アメリカ映画の要素の強さ」を感じたと言います。

具体的には「拳銃の撃ちあい」を挙げ、「そのまま撃ちあいを多く描くと、しんどいところがあったので、互いにキャッチボールをしながら修正を重ねていきました。銃よりもボディアクションのほうが日本のドラマとしてリアリティがありますからね。ただ、アメリカ人がどういうドラマを見たいのか、その意図は大事にしたつもりです」と、武監督が話していました。

世界で伝説化されている日本の漫画「AKIRA」のような印象が冒頭から強かったのは、良くも悪くもこうした話し合いが背景にあったからだと納得もさせられます。

一方で、助監督デビューから30年以上のキャリアを持つ武監督がアメリカ側の視点に新鮮味も感じています。それは「親殺し」という際どい題材でした。「アメリカの人たちがあえてタブーをシナリオに放り込んできた。比喩的な意味で親を殺さないと次に進めない人は実際にいますから、これを1つのテーマにしたことに面白みを感じました」と明かしています。

ネタバレは極力避けますが、作品の中でどのように表現されたのかというと、親のいない桐生たちが親の代わりになるものを探した末に、ヤクザの世界に入り、そのヤクザの世界でもご法度の「親殺し」がストーリーのカギになっていきます。つまり、「親殺し」という選択に彼らのなす術のなさを表しているのです。

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