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道長も見た月に潜む「地球との"ただならぬ関係"」 "月の誕生"に関わる、重大な「3つの説」とは?

東洋経済オンライン / 2024年11月16日 11時30分

コンピューター・シミュレーションによる研究では、飛び散った破片には、父親である天体のかけらもかなり含まれていると予想されます。そのかけらが集まって月になったとすると、月の岩石部分にも、父親の天体の痕跡が残るはず。しかし、それが見当たらないのです。

「衝突の角度や回数の関係で、母親似になった」「もともと父親と母親が似ていた」「どこかに必ず父親の痕跡が残っている」など、いろいろな可能性を検討する研究が、いまも行われています。

月が生まれる前の地球は、いまとは違って慌ただしい世界でした。

地球の1日は24時間ではなく、6時間でした。いまの4倍の速さで自転をしていたのです。

月が生まれたことで、地球と月は重力の影響を及ぼし合うようになります。

この月の重力の影響で、地球の自転は次第に遅くなり、現在の24時間に落ち着いたのです。まるで親が子どもと手をつないで、ペースを合わせながらゆっくり歩いているようですね。

もしも月がなかったら、太陽の重力の影響しかなかったので、いまごろ1日は8時間くらいになっていたでしょう。

地球は「月の重力」により環境が安定した

さらに、かつての地球は、自転軸が大きく傾いていました。

こちらも月の重力の影響で、自転軸の傾きがなだらかになり、気候が安定しました。もしも月が生まれていなかったら、激しく変動する環境のなかで生命はいまのように繁栄していなかったかもしれません。

つまり、月が生まれていなかったら、私たちもいなかったかもしれないのです。そう思うと、月と地球の結びつきがいっそう深く感じられますよね。

以前の記事「【NASA発表】月面着陸、意外すぎる9つの候補地」でお話ししたように、人類は月での長期滞在を目指して、さまざまな開発を進めています。やがて、当たり前に人々が月に暮らすようになるでしょう。

そして、月の誕生に関する謎も、いずれ完全に解明されることでしょう。

人がおらず、謎が残った神秘的な月を観られるのは、いまのうちかもしれません。たまにはゆったり時間をつくって、夜空に浮かぶ月を堪能してみてはいかがでしょうか。

(イラスト:村上テツヤ)

井筒 智彦:宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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