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AOKI、レディスウェア「全部盛り」で勝負する理由 14項目の機能を猛プッシュ、女性客獲得へ大改革

東洋経済オンライン / 2024年11月17日 9時0分

今レディスを強化する狙いとは

AOKIがレディスの強化を打ち出したのは、今後のファッション事業の業績を見越しての判断だ。事業全体は回復基調だが、スーツの販売数は2018年度の124.7万着から2023年度には85.3万着まで3割以上減少している。

そこでAOKIは今年、2032年にカジュアル衣料の売上高比率を現状の1割から3割、レディスも現状の2割から3割へ引き上げる目標を立てた。レディスは以前から強化を重ねてきたが、2017年度の205億円をピークに、2023年度も209億円と伸び悩んでいる。成長には突破口が必要だった。

今年7月、AOKIは森裕隆社長直下でミワクの専門チームを立ち上げた。従来は各部署に担当者が配置されていたが、商品開発から営業、広告まで部署横断の専門チームとし、スピードを上げる狙いがあった。

チームにはAOKIのプロパー社員だけではなく、中途採用のメンバーも多い。前述の商品開発担当の小森氏は、主に百貨店向けアパレルを手掛ける三陽商会に約30年従事した転職組だ。

ジャケットとパンツのセットアップだけにとらわれない、新たな商品を提案していくことも、チームの重要な役目になっている。

その一例がコートだ。これまではトレンチコートのみを展開していたが、今秋からキルティング素材の軽量なコートを追加した。また、ニットジャケットという丸襟の商品も投入するなど、職場で着られるアイテムを続々と増やしている。

レディスアパレルの競合は多い

レディスの強化に社運を懸けるAOKIだが、競争環境は厳しい。ライバルは同業だけではない。ユニクロやユナイテッドアローズなどのカジュアルブランドもスーツのセットアップを販売する。例えばユニクロの「感動ジャケット」は6990円とAOKIの約3分の1の価格だ。

カジュアルブランドは圧倒的な知名度と調達力を持ち、価格でも勝負している。AOKIがレディスウェアを伸ばすためには、機能性や技術の違いを伝える発信力と、知名度を高める努力が欠かせない。また、AOKIは郊外の路面店が中心で、リクルートスーツや礼服を購入する客が多い。来店頻度、購入頻度も低く、この点も対策が必要になる。

AOKIの森社長は「レディスのジャケットやシャツでは、当社を想起してもらえる場面が少なく、強化していく余地がある」とレディスの伸びしろに期待をかける。ミワクのリブランディングで働く女性の支持を得られるか。これまで以上にAOKIの本気度が問われることになりそうだ。

井上 沙耶:東洋経済 記者

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