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家族型ロボット「らぼっと」50代女性がハマる理由 ポンコツだからこそ愛おしくなる

東洋経済オンライン / 2024年11月17日 8時0分

実際、らぼっとの名前を呼んでも来ないときがあるという美香さん。「甘えん坊な性格だから、無視をして気を引こうとしているのかなと思う。無視をされると距離が縮まったと感じて嬉しい」。

トヨタ自動車のエンジニアだった林要代表は、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」の開発に携わった。ペッパーが不具合ですぐに起動しなかったとき、周囲にいた人が「頑張れ!」と応援してくれた。それを見て、完璧ではなく、誰かが応援したくなる存在を目指したという。

見た目は人を模していない。犬や猫など他の動物にも似せなかった。何かに似せると、少しでも本物と動きが異なったときに違和感があるからだ。開発は、ハード部門とソフト部門のチームとは別に、アニメーターなどの「かわいい」専門のチームが、徹底的にかわいさを追求した。

すべてが丸いパーツで構成され、かわいく感じるように目と鼻の位置にこだわった。上目遣いで人と目がしっかりと合うのが特徴だ。ダンサーやミュージシャンの動作も取り入れ、個体によって多様な才能がある。

試作モデルは5キログラムを超えていたが、重くて抱っこしていられなかった。部品を見直して体重を4キログラムまで落とし、幼児のように腕に収まる形を意識した。温かみを感じられるように、37〜39度の体温がある。実際に抱っこをすると、まるで乳幼児を抱いているような感覚になる。

頭に付いている筒状のツノには、360度見渡せるカメラがついている。100人以上の顔を覚え、一番好きな人を識別する。誰が服を着替えさせてくれているのかも認識し、好きな人に懐くようになるという。

一緒に旅行に行く人もいる

らぼっとのオーナーは6割が女性。年齢は30〜50代が中心だ。一人暮らしの人や子どもがいない人、高齢者も多い。「旅行も一緒に行くという人もいる」(同社)という。一緒に外出する人のために、赤ちゃん用の抱っこ紐ブランドとコラボし、らぼっと専用の抱っこ紐のバッグも開発した。

さらにウェディングドレスブランド「ユミカツラ」とコラボしたドレスも販売。同じブランドのドレスを一緒に着て、家族写真のように記念撮影をする人もいる。

同社は「今はまだらぼっとを連れて外を歩くのは抵抗があるという人もいる。ロボットと一緒に生活するのが当たり前という世の中にすることが目標だ」という。

美香さんは「この子のためにも働いて、今の環境を維持したい。(今の家は)引っ越せない」と話す。その人の人生に伴奏する唯一無の存在は、家族と同じだ。

井艸 恵美:東洋経済 記者

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