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「一人で歩かないで」親へのその声掛け、要注意 介護現場で身に付けたい「ステキ言い換え術」

東洋経済オンライン / 2024年11月19日 8時40分

強い口調で否定的な言葉を使って指示するほうが、相手に伝わると考える人もいるかもしれませんが、それは間違いです。

こうした言葉は、「スピーチロック(言葉の拘束)」と呼ばれ、介護の現場では避けるべきものの一つとされています。

否定的な言葉では、誰もが不快な思いをするだけで、言葉を素直に受け取ろうとは思いません。

場合によっては、萎縮したり、反発したりすることもあるでしょう。

利用者のなかには、認知症の影響により、なぜ自分が否定的な言葉を投げかけられているのかの理解が難しい人もいます。

こうした経験が積み重なると、利用者は、スタッフに対して嫌悪感を抱き、話をまったく聞いてくれなくなることさえあります。

大切なのは、利用者の意思を尊重し、「○○しましょう」「○○しませんか」という提案のかたちでお願いをすることです。

利用者は、自分のことを心配しながらも、意思を尊重してくれるスタッフに信頼を寄せ、言葉を受け止めようという気持ちになります。

何よりも、利用者のできることを尊重する「自立支援」につながります。

努力を認め、共感する

×な伝え方:みなさん頑張っていますよ

○な伝え方:〇〇さん、頑張っていますね

励まされたり、共感してもらうことは心のエネルギーになります。

自分の頑張りを「知ってくれている」「見てくれている」「認めてくれている」と感じると、さらなるモチベーションにつながります。

自分のことを理解してくれる存在がいるだけで、人は安心するものです。

励ますときに注意したいのは、「みんな」という言葉を使わないことです。

便利な言葉なのでつい使いがちですが、人は他人と一緒くたにされたり、比較されるより、「自分自身」を見て声かけをしてほしいもの。「みんなも頑張っているのだから、あなたも頑張って」と、「みんなの当たり前」を前提として、他人と比較するような発言を避けることが大切です。

そのため、リハビリやケアの場面で励ましたり、共感したりするときは、その人自身にフォーカスした言い方ができると効果的です。

一方、利用者のほうから「みなさんはどうなのですか?」と聞かれたときは、「人それぞれですよ。〇〇さんのご希望をお聞かせください」と本人の声に耳を傾けます。

励ましには、相手の力になりたいという思いがある一方、「もっとこうすべき」と相手を変えようとする意図が含まれることもあります。

知らず知らずのうちに押しつけないように気をつけたいですね。

いかがでしょうか。

ふだん口にする言葉を少し工夫していくことで、利用者とその家族、そしてスタッフ同士の関係性をよりよいものとし、働きやすい環境をつくることできるはずです。

大野 萌子:日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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