セルビア「中国が改修」の駅崩壊で高まる不信感 「一帯一路」の一環、不透明さに市民ら抗議デモ
東洋経済オンライン / 2024年11月20日 6時30分
セルビアの首都ベオグラードの北西70kmにある都市、ノヴィサドの鉄道駅で11月1日、駅舎の外側に設けられた屋根が崩落する事故が発生。少なくとも14人が死亡し、30人以上が重軽傷を負った。
【写真を見る】駅舎が崩落したノヴィサドの街で責任追及を求めて行進する人々。プラカードには簡体字も。駅の改修は中国政府が進める「一帯一路」構想の一環だった
駅は、運輸省が1600万ユーロ(約26億円)を投じて2021年から中国企業によって改修工事が行われ、今年7月に工事が完成したばかりだった。
事故を受け、ベオグラードなどでは責任を問い担当大臣の辞任を求める大規模な抗議デモが発生。同国のインフラ投資で存在感を高める中国と、それと手を組む政府に対する一般国民の不信感の高まりが噴出した形だ。
首都で数千人が抗議デモ
事故直後、同国のアレクサンダル・ヴチッチ大統領とミロシュ・ヴチェビッチ首相は責任者を洗い出し、司法の場で責任を取らせると約束。事故翌日には大臣を含む25人がノヴィサド高等検察へ出頭し尋問を受けたが、日曜日の3日には数千人の市民らがベオグラードの政府本部まで行進し、建設・運輸・インフラ大臣のゴラン・ヴェシッチ氏の辞任を要求した。
抗議者は、この事故を「蔓延する汚職、透明性の欠如、ずさんな改修工事」による人災だと非難した。
【写真】駅舎外側の屋根が崩落した現場での捜索作業。責任を問う抗議デモも発生し市民らが街頭を埋め尽くした
駅の改修工事を請け負ったのは、中国鉄路国際有限公司(CRIC)と中国通信建設有限公司(CCCC)だった。ヴチェビッチ首相は、国中で高まる「反中国」の声に対し、そのような説明責任はソーシャルメディアの反応によって決定されるべきではないと強調した。
事故原因は現在調査が行われており、今回崩落した1964年建造の屋根は改修工事の中に含まれていなかったと発表されている。だが、セルビアの専門家は、改修工事によって建物の構造変更が行われ、間接的に屋根の崩壊を引き起こした可能性があると国内メディアを通じて指摘した。
この工事に関する情報の不透明性も、国内で批判の声が高まる要因の1つとなっている。ノヴィサド駅の改修は、中国政府が進める「一帯一路」構想の一環としてセルビアの鉄道インフラをアップグレードする計画の一部に組み込まれ、2021年からスタートした。当局は、改修工事はヨーロッパ基準を満たしたものだったと説明している。
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