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現代社会で「子どもの知性」をどう育てるか 自然のなかで導き出された「ある教え」とは

東洋経済オンライン / 2024年11月21日 9時0分

春山:そうですね、自然の中で過ごすと都市のありがたさも身に沁みますよね。時間通り、予定通りに物事が進むことがいかに異常で、ありがたいことかわかります。

窪田:人類の長い歴史で考えると、現代化によって、本来なら人や季節によってそれぞれ違うはずである食事や起床の時間が画一的になりました。12時になったからお昼ご飯にしましょうといったことも、実はかなり不自然なんです。

本来はお腹が空いたら食事をする、日が昇ったら起床するというふうに、自然や自分の身体のサイクルによって個人が決めるものでした。自然の流れにそって生きる方が身体には良いので、1人ひとりが自分にとって何が心地良いか立ち止まって考える必要があるのかもしれませんね。

厳しい自然を生き抜いたイヌイットの教え

春山:私は20代の頃、厳しい自然のなかで暮らしているアメリカの先住民やネイティブアメリカンに興味があり、アラスカに渡りました。

窪田:私もアラスカに行ったことがあります。一瞬恐怖を感じるくらい厳しい、ですが雄大な自然が印象的でした。

春山:その雄大な自然のなかで生き延びてきたイヌイットのご年配女性が、ビーズでバッグなどを作っていました。その作品をいくつか見せてもらったのですが、綺麗に対称的に縫われているビーズワークに、わざと1カ所色や数をずらしているところが必ずあるのです。どうしてか想像がつきますか。

窪田:わざと、ですか。いえ、想像がつかないです。

春山:当時私もわからなくて、その女性に理由を聞いたところこう返ってきました。「人間は必ずミスを犯す生き物であることを忘れないため。だからあえて1カ所間違えているのよ」と。

自然のなかで人間はいかに儚い存在か。高度な技術をもってしても、人間は間違うことがある。人間として生きていくうえで、その考えを最初から入れ込んで生きるのと入れ込まないで生きるのは、人間が作り上げてきた道具や制度の使い方が変わってくると思えた出来事でした。

窪田:確かに、危険などを排除して無菌状態で生きていくのは一見楽に見えるかもしれません。しかし長期的に見ると、身体の弱い人間を生み出してしまっている。私たち人間は間違うこともあると絶えずリマインドしながら、自然へのリスペクトや謙虚さを忘れないようにしたいですね。

(構成:石原聖子)

窪田 良:医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

春山 慶彦:ヤマップ代表取締役CEO

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