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追い込まれたドコモ、「値下げ競争再燃」へ火蓋切る 競合も追随、業界は"ゼロサムゲーム"加速か

東洋経済オンライン / 2024年11月21日 7時30分

決算で減益になりながらも販促を強化した成果は、実際に現れてきている。ドコモの10月のMNPでの契約増は想定を上回り、解約率も0.6%と低水準で推移。とくに、販売員を強化した量販店では若年層に訴求し、契約獲得(8月)は4月比で1.5倍になったという。大容量プランへの移行推進策も奏功して、下落傾向にあったARPUも下げ止まりつつある。

競合する通信キャリアの幹部は「9月以降、ドコモがかなり営業を強化している。とくに足元では、ドコモの動きが活発になった影響が出ている」と警戒する。前田社長は「顧客基盤強化に向けた取り組みについて、確かな手応えを感じる。下期に向けてもさらに強化、拡大する」と強調した。

本業でシェアを奪われ続け、苦境に

そもそもドコモはなぜ今、ここまで必死になって顧客の獲得に取り組んでいるのか。その背景には、ドコモがこの数年、本業で大きく苦戦してきたことがある。

ドコモは2020年12月にNTTの完全子会社になって以降、傘下にNTTコミュニケーションズ(コム)、NTTコムウェアを置く大規模グループ再編を進めてきた。コムに法人事業を集約して営業体制を効率化し、金融事業でもマネックス証券子会社化などを通じ、規模拡大を図った。

グループ全体では堅調に成長していたものの、その裏では、本業であるはずのコンシューマ通信で苦境に陥っていた。官製値下げの影響でARPUが低下し、業績が大きく下押しされただけでなく、競合他社にシェアを奪われる状態が続いた。

その反面、販売代理店の整理など、顧客基盤縮小につながりうるコスト削減策を通じて、利益を底上げしようとするような姿勢も目立った。NTTの島田明社長は9月の投資家向け説明会で、「ドコモは利益を優先し過ぎて、シェアを落としてきた」と振り返った。

総務省によると、ドコモの市場シェアは2020年3月時点で37.7%だったが、2024年3月には34.5%まで低下している。シェア低下の一因として挙げられるのが、昨年までドコモが競合他社の展開する格安の小容量帯プランを持っていなかったことだ。

格安の小容量帯プランの導入は、キャリアから通信回線を借りて事業を展開するMVNO(格安スマホ業者)への打撃が懸念され、「最大手のキャリアとして、MVNOを潰さないため」(複数の業界関係者)に、ドコモは慎重だったとされる。しかし結果として、ドコモはサブブランドで低容量帯の格安料金プランを持つ競合他社に競争力で劣後し、ソフトバンクのワイモバイルやKDDIのUQモバイルへの流出が続いた。

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