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中国企業への「禁輸違反」で、米半導体大手に罰金 「エンティティーリスト」との照合時に見落とし

東洋経済オンライン / 2024年11月22日 9時40分

グローバルファウンドリーズは意図せぬ禁輸違反を自主的に当局に報告した。写真はアメリカ・ニューヨーク州の本社工場(同社ウェブサイトより)

アメリカの半導体受託製造(ファウンドリー)大手のグローバルファウンドリーズ(GF)が、アメリカ政府の輸出管理規則(EAR)に違反して禁輸対象の中国企業に製品を出荷し、罰金を科されたことがわかった。

【写真】アメリカ政府が禁輸対象に指定している盛合晶微半導体の本社工場

EARを所管するアメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は11月1日、上述の違反についてGFとの和解に合意するとともに、同社に50万ドル(約7646万円)の罰金を科すと発表した。

GFは世界第5位のファウンドリーで、アメリカのニューヨーク州に本社を置く。BISによれば、同社は商務省の「エンティティーリスト」に指定された中国の盛合晶微半導体(SJセミコンダクター)向けに、BISの許可を得ずに(電子回路を焼き付けた)シリコンウェハーを輸出していた。

(訳注:エンティティーリストは、アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)

「後工程」の委託先に出荷

具体的には、GFは2021年2月から2022年10月にかけて合計74ロット、金額ベースで約1710万ドル(約26億円)相当のウェハーを盛合晶微半導体に発送した。

ただし、これは故意の違法輸出ではなかった。半導体の製造工程は電子回路をウェハーに焼き付ける「前工程」と、ウェハーを切断してパッケージに封入し、最終テストを行う「後工程」に大きく分かれる。

GFは前工程の受託企業であり、問題のウェハーを第三者の半導体設計会社から受注して製造。その際、半導体設計会社が後工程の委託先として指定したのが盛合晶微半導体だった。

エンティティーリストに基づく顧客のスクリーニングをGFは実施していたが、盛合晶微半導体が直接の顧客ではなかったために見落としてしまったという。

その後、ミスに気付いたGFは自主的にBISに報告。調査に協力し速やかに是正措置を講じたため、罰金は大幅に減額された。

「アメリカ企業が中国の関係先に半導体の(中間製品を含めた)材料を送る際には、細心の注意を払ってもらいたい。今回のように、半導体材料が送られるべきでないところに送られてしまった場合には、企業は自主的に報告して是正措置を取り、われわれに協力してほしい」

BISの輸出執行担当次官補を務めるマシュー・S・アクセルロッド氏は、声明の中でそう強調した。

SMICの関連企業

盛合晶微半導体のウェブサイトの情報によれば、同社は2014年8月に創業し、江蘇省江陰市のハイテク産業開発区に本社工場を構える。

同社は12インチウェハーに対応した(切断前のチップに配線用の突起状電極を形成する)バンプ加工、チップのパッケージ封入、最終テストなどの設備を持ち、一連の後工程を顧客から請け負っている。

BISは、盛合晶微半導体を中国のファウンドリー最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の関連企業と見なしている。そして2020年12月にSMICおよび関連会社をエンティティーリストに追加した際、盛合晶微半導体もその中に含めていた。

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は11月4日

財新 Biz&Tech

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