上場廃止のスノーピーク「純利益99%減」の背景 在庫が余りすぎて安全性は「危険水域」へ
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 18時30分
また、当期は前期同様、既存店及び海外現地法人の収益性を見直したことで、4億円の減損が発生。最終利益は前期比99.9%減の100万円と、赤字転落の一歩手前まで減少しました。
在庫があまりすぎた
体つきはどうでしょうか。総資産は前期から40億円(13.0%)増加。うち、流動資産が前期から31億円(18.6%)増えています。
なかでも「棚卸資産」(在庫)が、前期から59.9%と大幅に増加。棚卸資産回転期間(在庫などの棚卸資産が売上に変わるまでの期間)を計算すると、171日から362日と倍以上になっており、在庫がだぶついています。エネルギーになる前の脂肪が、かなり蓄えられている状態です。
これに伴い、前期から運転資金(事業を継続するために必要になるお金)は85億円から117億円に約37%増加、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル。事業活動を行ううえで支払った現金が、在庫や売掛金などに形を変えて、再び現金として戻ってくるまでに要する日数)は170日から350日に増えており、資金繰りが苦しくなっています。
安全性は「危険水域」へ
負債の部をみると、増加した運転資金を確保するために、短期借入金が前期53億円から当期104億円に倍増しています。
これにより、短期的な安全性を示す流動比率(流動負債に対する流動資産の割合。比較的短期の資金繰りの安全性を表す)は、182%から143%に低下。
また、短期的な返済能力を厳密に示す当座比率(流動負債に対する当座資産<現預金、受取手形、売掛金、有価証券の合計>の割合)も98%から63%に低下しています。
大企業の平均は80%台であり、危険水域に向かって急低下しています。
さらに、自己資本比率は、48.8%から44.6%に4.2ポイント低下。骨格はまだ十分な太さがありつつも急激に細くなっており、今後さらに比率が低下しないか注視が必要です。
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佐伯 良隆:グロービス経営大学院教授(ファイナンス)
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