1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

カナダ政府が「TikTok」現地法人に事業停止命令 安全保障リスクを明言も、アプリ利用は禁じず

東洋経済オンライン / 2024年11月25日 16時0分

TikTokはカナダ政府による現地法人の事業停止命令に反発している(写真はTikTokのウェブサイトより)

カナダ政府は、中国発のショート動画アプリ「TikTok(ティックトック)」のカナダ法人に事業停止を命じた。カナダのイノベーション・科学・経済開発省(ISED)が、11月6日付の声明で明らかにした。

【写真】TikTokカナダ法人の事業停止を命じたカナダ政府の声明

ISEDの声明によれば、TikTokの運営母体である中国の字節跳動(バイトダンス)がカナダ法人の設立を通じて行っていた事業に関して、特定の国家安全保障上のリスクが認められた。そのため、「カナダ投資法」の規定に基づいて今回の措置を決定したという。

TikTokはカナダ政府を提訴へ

カナダ投資法は国家安全保障を脅かす恐れがある海外からの投資に対して、カナダ政府が審査を行う権限を与えている。ISEDはTikTokへの命令について、「審査の過程で集められた情報および証拠、さらにカナダの国家安全保障当局および情報機関などの助言に基づいている」と説明した。

これに対してTikTokは、「カナダ法人を閉鎖し数百人の高賃金の雇用を失わせるのは、誰の利益にもならない」と反発する声明を11月7日に発表。カナダ政府の命令に異議を唱え、カナダの裁判所に提訴する方針だ。

ここ数年、カナダ政府は国家安全保障上の懸念を理由に、カナダ投資法の改正を重ねている。2024年3月には、インタラクティブ・デジタルメディア分野への海外からの投資に関するカナダ投資法の適用条件について、政府の見解をより明確化した。

それによれば、敵対的な国家の資金援助または影響を受けた者が、インタラクティブ・デジタルメディア分野への投資を利用し、カナダの国家安全保障にとって有害な虚偽情報の拡散や情報操作を行う可能性がある場合には、カナダ投資法に基づく審査の適用対象になる。

国民には注意喚起のみ

ただし注目すべきなのは、カナダ政府はTikTokカナダ法人の事業停止を命じただけで、カナダ国民によるアプリの利用は禁止しなかったことだ。ISEDは声明の中で、「ソーシャルメディアのアプリやプラットフォームを利用するかどうかの意思決定は、あくまで個人の選択だ」としたうえで、次のように注意喚起した。

「カナダ国民にとって重要なのは、ソーシャルメディアのアプリやプラットフォームを利用する際に、サイバーセキュリティ上の適切な対策を取り、生じうるリスクをきちんと評価することだ。自分の情報が外国の運営者にどのように保護、管理、使用、共有されるのか、どの国の法律が適用されるかなどに注意を払うことが大切だ」

TikTokに対するカナダ政府の締め付けは、今回が初めてではない。2024年2月には、カナダ政府が(公務員などに)支給した携帯端末上でのTikTokの利用を禁止した。

その理由について、カナダ行財政管理調整委員会のモナ・フォーティエ委員長は当時の声明の中で、「政府のCIO(最高情報責任者)がTikTokを審査し、プライバシーおよびサイバーセキュリティ上の受け入れがたいリスクがあると結論づけた」と述べた。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は11月7日

財新 Biz&Tech

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください