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中国新興EV「哪吒汽車」の資金繰り悪化が表面化 取引先が債務履行求め訴訟、賃金支給の遅延も

東洋経済オンライン / 2024年11月25日 18時0分

哪吒汽車は東南アジアなど海外市場への進出にも積極的だったが、2023年以降は成長の勢いが鈍化していた。写真は主力車種の「哪吒X」(同社ウェブサイトより)

「哪吒汽車(ネタ)」のブランド名で事業展開する中国の新興EV(電気自動車)メーカー、合衆新能源汽車の資金繰り悪化が表面化した。同社の生産子会社に設備を納入した取引先から、代金未払いを理由に訴訟を起こされたのだ。

哪吒汽車は電池大手のCATLが開発した「スケートボード型車台」を採用するなど、先端技術の導入に熱心だった。

中国の産業用ロボット大手の埃夫特智能装備(EFORT)は11月8日、合衆新能源汽車および江西省宜春市の子会社を相手取り、4819万5000元(約10億3449万円)の債務履行と支払い遅延の賠償を求めて現地の裁判所に提訴したと発表した。

溶接ラインなどの代金未払い

埃夫特智能装備によれば、同社は2020年から2022年にかけて合衆新能源汽車の生産子会社と複数の契約を結び、自動溶接ラインなどの生産設備を納入した。だが、埃夫特智能装備が契約を履行したにもかかわらず、代金は支払われていないという。

合衆新能源汽車は2014年に創業し、2019年に哪吒汽車のブランドを立ち上げた。現在は浙江省桐郷市、江西省宜春市、広西チワン族自治区南寧市の3カ所に工場を持つ。問題の生産子会社とは宜春工場のことだ。

原告の埃夫特智能装備は、中国の会社法に基づく債務返済の義務があるとして親会社の合衆新能源汽車を同時に訴えた。

中国自動車市場でEVメーカー同士の過当競争が激化する中、哪吒汽車の販売は苦戦を強いられている。2024年1月から9月までの販売台数は累計8万5900台と、(EV市場全体が拡大する中で)前年同期比12.1%減少した。

哪吒汽車の内情に詳しい関係者によれば、目下の資金繰りは極めて苦しく、EVの生産に影響が出ているという。

「多数のサプライヤーへの支払いが滞っているため、部品の供給が止まり、生産ラインを正常に稼働できない状況だ。従業員の賃金も9月分を期日通りに支給できず、10月16日に半分だけ支払ったが、残り半分はまだ支払われていない」。上述の関係者はそう証言した。

赤字続きで資金払底か

哪吒汽車は香港証券取引所への上場を目指し、2024年6月にIPO(新規株式公開)の予備的な目論見書を提出した。

そこで開示された過去3年間の業績を見ると、売上高は2021年から2022年にかけて50億8000万元(約1090億円)から130億4000万元(約2799億円)に急拡大したが、2023年は135億5000万元(約2908億円)と前年比3.9%の伸びにとどまった。

一方、営業損益はずっと赤字で、その額は2021年が45億元(約966億円)、2022年が59億5000万元(約1277億円)、2023年が67億5000万元(約1449億円)と増え続けている。

さらに、資金繰りの目安になる現金および現金同等物の残高は、2022年末時点の67億5000万元(約1449億円)から2023年末には28億3000万元(約607億円)に減少していた。現状を勘案すると、何らかの手段でまとまった資金を調達しなければ経営破綻のリスクは否定できない。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は11月8日

財新 Biz&Tech

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