近視は「健康問題」を超えた「社会問題」である 災害などの急激な変化で備えるべきは「見る力」
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 8時10分
窪田:ちなみに、近視の研究が始まったきっかけは、欧米の空軍パイロット養成校で起こったとある現象でした。その現象とは、入学時は全員視力に問題がなかったのに、訓練を受け卒業する段階になると毎年一定数近視を発症する生徒が出てくる。これでは、せっかく費用や時間をかけて育成しても実際にパイロットとして飛行できません。
国防や安全保障という観点からも、近視有病率が上がっていることは歓迎すべき現象ではありません。第1回でもお話しした中国では、近視有病者が増えていることによって国の経済面にも悪影響を及ぼしているとし、国策として近視抑制に取り組んでいます。
日本でも近視に関して、個人の健康面への悪影響にとどまらず、社会全体の問題として取り扱ってもらいたいですし、そのために発信をし続けたいですね。
春山:実は私の祖父も、生前私に「目を大事にしろ」と言い続けていた人でした。祖父は戦時中、特攻予備軍に所属していた飛行少年でした。
窪田:そうでしたか。おじい様は目の大切さをよくご存じだったかと思います。
春山:そうですね。私は幼少期にファミコンが流行った世代で、よくゲームをしていましたが、そのことを祖父は否定しませんでした。ただ、「遠くを見なさい」「星を見なさい」とは散々言われました。
窪田:そうなんです、目の健康にとってゲームやテレビ、スマホが一切ダメというわけではないのです。ゲームなどの近見作業と遠く見るという行為、それぞれのバランスをどううまく取るかが大事なのです。食べすぎたら次は食べる量を少し控えるようと思うのと同じことです。
春山:亡き祖父の教えが理にかなっていたとは驚きました。
見ること、見せることで広がる世界観
春山:災害と言えば、私が起業するきっかけとなったのは2011年の3.11(東日本大震災)でした。エネルギーや食料などの重要な問題を「他人任せ」にしすぎてしまった結果があの福島の事故だったと感じました。
これは原発の是非とはまた別の話です。自分たち人間も、そして都市も自然の一部であるという前提で、エネルギーや食をいかに地域で賄うかをもう一度考えないといけない、と。
窪田:3.11では、自然災害を目の前にすると人間の力がいかに無力なのかを思い知らされました。
春山:壮絶な経験を少しでもポジティブなものに変換して、次世代、そのまた次の世代に手渡せたらと思いました。それもあり「ヤマップ」というベンチャービジネスを興し、社会に何かしらのインパクトを届けたいと活動を続けてきました。
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