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中国EV市場、激戦下で「零跑汽車」が頭角現わす 低価格・高機能を売りに年間販売25万台超えへ

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 17時0分

零跑汽車の中型SUV「C10」は約275万円からの価格設定で高機能のスマートコクピットを搭載し、高い人気を集めている(写真は同社ウェブサイトより)

中国自動車市場でEV(電気自動車)の価格競争が激化する中、新興メーカーの1社の零跑汽車(リープモーター、正式社名は零跑科技)が頭角を現わしつつある。

【写真】2024年10月のパリモーターショーでスピーチする零跑汽車の朱江明CEO

「2024年の販売台数は目標の25万台を超えそうだ。2025年は50万台の販売を目指す」。同社の朱江明CEO(最高経営責任者)は11月12日、複数のメディアの取材に応じ、そんな強気の発言をした。

月間販売記録を10月に更新

零跑汽車の発表によれば、同社の2024年1月から10月までの販売台数は累計21万台。そのうち10月の販売台数は3万8000台と、単月の最高記録を更新した。年末商戦でさらに販売を上積みすれば、2024年の年間販売台数は30万台に迫り、前年比倍増する可能性がある。

好調な販売を牽引するのは主力車種の「Cシリーズ」だ。零跑汽車は現在、コンパクトカーの「Tシリーズ」1車種、中型車のCシリーズのSUV3車種、同じくCシリーズのセダン1車種の合計5車種を生産・販売している。

同社の総販売台数に占めるCシリーズの比率は、2024年1~3月期の71.8%から、同4~6月期は74.6%、同7~9月期は78.3%へとしり上がりに拡大中だ。

Cシリーズは粗利率が(Tシリーズに比べて)相対的に高い。生産規模拡大のスケールメリットも加わり、零跑汽車の収支改善に貢献している。同社が11月11日に開示した2024年7~9月期の決算報告書によれば、同四半期の(事業全体の)粗利率は8.1%と、前年同期比7ポイント近く上昇した。

同じく決算報告書によれば、7~9月期の売上高は98億6000万元(約2104億円)と前年同期比で74.3%増加。純損益は6億9000万元(約147億円)の赤字だったが、損失額は前年同期より3割縮小した。

朱CEOによれば、零跑汽車の経営はすでに損益分岐点に近づいており、2025年には黒字化する見通しだという。

スマート機能にお買い得感

新型車がひしめく中国のEV市場で、Cシリーズはなぜ消費者の人気を集めているのか。その理由の1つは、価格の安さのわりに高度なスマート機能を搭載していることだ。

例えば2024年3月に発売した新型SUV「C10」は、クアルコム製の車載用プロセッサー「スナップドラゴン8295」を採用しながら、ベースグレードのメーカー希望価格を12万8800元(約275万円)からに設定した。

このプロセッサーは高機能のスマートコクピットを実現する“頭脳”であり、ドイツのメルセデス・ベンツの「Eクラス」、中国の極氪(ジーカー)の高級セダン「007」、理想汽車(リ・オート)の高級ミニバン「MEGA」なども採用している。だが、15万元(約320万円)以下のEVへの搭載例はほとんどなく、C10のお買い得感を高めている。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は11月13日

財新 Biz&Tech

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