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「中国ビザ免除再開」久々の観光自由化への期待 中国を旅行する前に準備・知っておきたいことは?

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 9時30分

ビザ免除再開で中国への旅行がしやすくなる(写真:サイタヒロシ / PIXTA)

2024年11月22日、中国外務省は、日本人に対する短期滞在ビザの免除措置を11月30日から再開すると発表した。中国をビザなしで滞在可能となるのは、新型コロナウイルスの流行によって免除措置が停止した2020年3月以来、実に4年8カ月ぶりとなる。

【画像】12月の中国行き航空券を検索してみたら安いチケットが見つかった

今回のビザ免除措置は、2024年11月30日の午前0時入国分から適用が開始され、当面2025年12月31日の24時までこの措置が継続されることになっている。

対象は日本の一般旅券を所持しており、商業、貿易、観光、親族訪問、交流・訪問、トランジット目的で入国する人。ビザ免除で許される滞在期間もこれまでの「15日間以内」から「30日間以内」と長くなり、利便性は増したといえる。

ようやく入国ビザ免除が“復活”

日本の政財界が長く中国に対して要望を出し続けていた中国のビザ免除措置。中国は、コロナ後、これまでどのような国にビザ免除措置をとってきたのだろうか。

*2023年7月26日から→シンガポール、ブルネイ

*2023年12月1日から→フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、マレーシア

*2024年3月1日から→タイ

*2024年3月14日から→スイス、アイルランド、ハンガリー、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルク

*2024年11月8日から→韓国、ノルウェー、フィンランド、スロバキア、デンマーク、アイスランド、アンドラ、モナコ、リヒテンシュタイン

*2024年11月30日から→日本、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、マルタ、エストニア、ラトビア

新型コロナウイルス感染症の感染拡大前、日本はシンガポール、ブルネイとともに、中国のビザ免除措置対象国となっていた。

そのため、他国の先陣を切って、2023年7月に日本人に対するビザ免除措置が復活してもおかしくなかった。だが政治的な思惑もあり、解禁が1年4カ月あまり先延ばしになっていたことになる。

中国渡航は「ビザの取得」が大きなネックだった

そもそもコロナ前、日本人はどのくらい渡航していたのだろうか。2019年に中国に渡航した日本人は約268万人だった。

中国国家移民管理局によると、2024年1~8月に中国を訪れた日本人は約68万人。年間ベースになおすと約100万人であり、コロナ前の4割弱にとどまっていることになる。

このなかには日本国籍を取得した中国出身者や、ビジネス渡航も含まれるので、日本人の単純な旅行者数の落ち込みは、これよりも激しいことが想定される。

その最大のボトルネックとなっているのが「ビザの取得」だった。2023年5月から2024年11月までの間に計4回中国ビザを取得した会社役員の石田薫氏(仮名)にその事情を聞いてみた。

「(関東地方在住者が中国ビザを申請する)東京・有明の中国ビザ申請サービスセンターは、行くたびに中国が得意とする人海戦術が向上して現場対応がスムーズになり、担当窓口の人はできるだけビザを通そうとする意識を感じた。

また、待っている人が多ければ早めにオープンするなど、日本の役所には見られないフレキシビリティがあった」とその応対を評価する。

その一方、「メディアに携わる人に対しては敏感と感じた。新聞社系列の子会社を退職した方に『メディアではないですか?』と確認しているのを見た。現職でもないし、メディアに携わる仕事でもないのに、そこまで確認するのかと思った」という。

また、筆者自身が中国ビザを申請する際に経験したことだが、パスポートにパキスタンのスタンプがあったものの、そのときに取得したパキスタンのEビザのデータを消去していたために、念書を提出させられた。

トルコ、パキスタン、アフガニスタン、シリア、イラク、イラン、キルギスタン、タジキスタンいずれかへの渡航歴がある人は、ビザの発行について領事判断になることがある。

中国のビザ免除にともない、こうした確認は中国入国時にスライドされる可能性もある。上述の国への入国履歴がパスポートにある人は、Eビザのデータを用意したうえ、入国時になんらかの質問を受ける可能性があることを念頭においておきたい。

「安近短」の旅行先として人気が高まるか?

いずれにせよ、今後の中国旅行は30日以内であれば、ビザ取得のために、2回ビザセンターに足を運んだり、ビザ代に7000円以上の出費を強いられたりすることがなくなる。となると、「安近短」の行き先として、中国本土が一気に浮上することになるのではないか。

では、いま(2024年11月下旬)、どのくらいの金額で中国に行けるのだろうか。

まずは成田空港から直行便でいける週末の旅行について、スカイスキャナーで調べてみた。2024年12月前半出発で往復総額3万円以内という条件を満たす都市が6都市あった。

上海(春秋航空 1日1~3便)

南京(春秋航空 12月17日までは週3便)

石家荘(春秋航空 水・日の週2便)

寧波(春秋航空 1日1便)

ハルビン(春秋航空 水・金・日の週3便)

天津(春秋航空 月・火・木・土の週3便)

この中で狙い目は、1日最大3便あり、時間に融通の利く「上海行き」と、毎日行きが午前11:20着、帰りが12:20発と短い弾丸旅行でも現地滞在時間が比較的長くとれる「寧波行き」だ。

南宋や明の時代、貿易港として栄えた寧波には、市内に多くの寺院が残る。また、寧波から浙江省の省都である杭州へは鉄道で1時間程度と上海からよりもアクセスがよい。

なお、2025年1月以降はやや金額があがり、最も安い上海で3万4000円台となっている。観光へのハードルが下がれば、その分需要は高まり、航空券代も上昇するだろう。中国に「超格安」で行くためには、ビザ免除解禁直後の12月前半がおすすめといえそうだ。

治安の心配もあるが……

このところ、日本人学校を狙ったと思しき犯罪も含め、無差別の殺人・傷害が報道されている中国。ビザ免除解禁はよいが、治安を不安視する人もいるだろう。

こうしたときに一つの目安となるのが、国別の人口あたり殺人率である。国連薬物・犯罪事務所(UNODC)によれば、2022年の10万人あたりの殺人発生率で最も多いのは、南アフリカ共和国の45.53人。

次いでメキシコの26.11人、ブラジルの20.61人、ペルーの8.46人と中南米の国が続く。アメリカは6.38人、グアムは4.15人だった一方、アジアの国々では韓国は0.53人、中国は0.50人、日本は0.23人という水準だ。

これは、ギャング同士の抗争などによる死者も含んでいるため、そのまま旅行者のリスクに結びつくものではない。とはいえ、一般的なイメージとは乖離(かいり)があることも読み取れるのではないだろうか。日本が世界的に圧倒的に安全であることもわかるが、中国での殺人発生率はグアムの8分の1以下にとどまっているのも事実だ。

とはいえ、強い反日感情をもっている人が一定の割合で存在するのも事実だ。不用意に日本語を使わないほうがトラブルに巻き込まれるリスクは下げられる。

そのほか、軍事施設などを不用意に撮影することなどを避け、ごく一般的な旅行をしている限り、スパイ容疑で拘束されるといったトラブルを過度に心配する必要はないだろう。

また、中国旅行については、主要SNSが中国国内で利用できないことや、WeChatPay(微信支付)やAlipay(支付宝)をインストールしていないと、旅行しづらいという課題がある。

なお、格安スマホのahamoの海外データ通信を利用すれば、日本のスマホで問題なく、すべてのSNSを中国国内でも利用できる。ahamoユーザーでない場合は、VPN経由でアクセスする必要がある。WeChatPayやAlipayもアプリをダウンロードし、日本発行のクレジットカードと紐づければ、利用することができる。

中国の配車アプリといえば、DiDi(滴滴出行)がよく知られているが、Alipayと紐づけることで利用が可能となる。地図に関しては高徳地図というアプリの利用価値が高い。

コロナ前から長らく、中国から遠ざかっていた人も少なくないだろう。ビザ免除をきっかけとして、中国を訪れてみてはいかがだろうか。

橋賀 秀紀:トラベルジャーナリスト

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