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【アイドル摘発】「路上ライブ」取り締まるべきか 新宿駅東南口での"事件"から考える是非

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時50分

もちろんそれ以外の理由も多々考えられる。

すでに何度か注意を受けているのに続けている常習性や組織ぐるみであったことなど、さまざまあろう。

そのうえでこの東南口広場は国、新宿区が整備を進め、現在は観光案内所や飲食店などがあり各施設は民間事業者と連携しながら運営が行われている非常に複雑な場所であることから、さまざまな苦情が寄せられたことは想像に難くない。

「駅や商業施設で何かあった場合、救急、消防、警察車両などが広場に入ることが十分にあり得ます。そんな一刻を争う緊急時に使用する道路をすぐに撤去できない機材を置き、許可なしに占有することは違法性が高いと認識されるということです」(五十嵐教授)

緊急車両への妨げ

駅前のロータリーの広めの歩道や広場のようなスペースがあればそこに車両が乗り入れることも十分に考えられる。

ここでポイントとなるのはすぐに撤去できない機材を置いているというところにある。通報などで警察に注意を受けたときに、路上ライブを行う各アーティストはすぐに撤去できるかどうかというのが悪質かどうかのひとつの判断基準となるわけだ。

大きなアンプやミキサー、マイクスタンドなど即時に動かせない機材が置かれていると悪質とみなされる可能性が高くなる。

今回、書類送検されたグループの過去に行われた路上ライブの動画(2023年10月撮影のもの)を確認したが、よく路上ライブで使われるアンプのほかキーボードが置かれていた。

推測の域を出ないが、おそらく今回の摘発もこれらが置かれており、即座に撤去できず通行の妨げになるとみなされたのだと考えられる。

今回、この報道がなされた後、それでもなお南口、東南口で路上ライブを続けるアーティスト数名に匿名ではあるが話を聞くことができた。あるアーティストはこう答えてくれた。

「新宿駅前は圧倒的に人が集まりやすいですしCDやライブチケットも多く売れます。それに何よりもメジャーになりたいんです。ここで売れていった人たちたくさんいるじゃないですか。そうなりたいんです」

路上アーティストの免罪符

このアーティストに限らず共通していたのは「これまで路上から売れていったアーティストのように自分も売れたい」ということである。

いまはメジャーのあのアーティストも以前、ここで路上ライブをしていた。だから自分もというのはアーティスト側からすれば十分な理由であろう。

だが、この言葉がある種、路上アーティストの免罪符のようにもなっており、そこから行き過ぎた迷惑行為となるパフォーマンスを行うものが現れたのもまた事実である。

近頃では炎上商法というものもある。「悪名は無名に勝る」ではないが、無名のアーティストで終わるくらいなら捕まっても話題になったほうがいいと考えるものがいてもおかしくない。なかには警察とのやりとりを、あえてSNSにアップするものもいる。

南口および東南口の路上は売れたいと日々努力するアーティストにとってはまさに自身の人生を左右する場所である。

筆者自身、取材を通して単に道路交通法違反といったもので路上ライブを取り締まり、済まされていいものなのか改めて考えさせられた。

*この記事の続き:路上ライブは「グレーな文化」として容認すべきか

松原 大輔:編集者・ライター

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