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ジリ貧のTSUTAYAがここに来て大量展開する商売 脱ビデオ屋?トレカで「空間の価値」を提供し始める

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時40分

実は、現在CCCはグループ全体を通して、こうした「場所のビジネス」に注力している。

4月にリニューアルオープンしたSHIBUYA TSUTAYAは、「モノ」を売る場所というよりも、人々が交流したり、集ったりすることができる「場所」や「体験」を軸にしたスペースに変貌した。いわば、「場所」そのものを商品化している。「POKÉMON CARD LOUNGE」もその一つだし、3、4階に広がるシェアラウンジや1階のポップアップショップもそれをよく表している。

その意味でも「対戦スペース」というものは、まさにCCCが目指すビジネスの方向性に合致しているようにも思われる。

地方・郊外まで広がる可能性のあるビジネス?

さらにトレカショップは、CCCのビジネスがこれまで抱えていた問題点を克服するきっかけになる可能性もある。

というのも、TSUTAYA以降、CCCは全国展開が可能な地方・郊外でも数を増やしていける業態になかなか恵まれていない。

例えば、都心では見かけることも増えてきたシェアラウンジは、ある程度その周りにリモートワーカーがいなければ成立しない。蔦屋家電なども、都心数店舗での展開にとどまっている。現状、「蔦屋書店」は都心以外でもそれなりに出店しているものの、出店場所がその都府県の中心部であることは確かだ。

大手レンタルビデオチェーンであったゲオが古着屋の「セカンドストリート」を地方・郊外に増やして、企業全体の業績を上げているのとは対照的な状態なのだ。

そんななか、トレカショップはすでに全国にTSUTAYA併設という形で182店舗を展開しているし、ユーザーも全国に点在している。スペースとしてもいすと机があれば簡単に展開できるものだから、この弱みも克服する可能性がある。

「蔦屋書店」のような、いわゆる”意識が高い”と揶揄されがちな業態と違って(筆者がそう思っているわけではない)、トレカは、ほどよく肩の力が抜けている。

このように考えていくと、トレカショップは、CCCの新しいビジネスの柱の一つになるかもしれないのだ。いやそれどころか、うまくハマれば、大復活のきっかけにもなるかもしれない。

変化の激しいトレカ業界でCCCは居場所を獲得するか?

もちろん、ここまでお読みいただいてわかるように、まだまだトレカ事業が「場所」のビジネスとして大きく成功するかどうかはわからない。

現状、ほとんどの対戦用スペースは無料だし、「オマケ」程度に捉えている人のほうが圧倒的だ。

ただ、トレカ市場の現状、そしてCCCのビジネス全体を見渡したとき、トレカビジネスというのは、確かに一つの鉱脈になる可能性があると思うのだ。

谷頭 和希:都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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