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開発か景観か「宝石のような街」盛岡のジレンマ マンション広告「岩手山」取り違えで市民激怒も

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 12時30分

東京駅と同じく辰野金吾が手がけた岩手銀行赤レンガ館(左)と建設中のマンション(写真:筆者撮影)

2023年にニューヨークタイムズ(NYT)が発表した「2023年に行くべき52カ所」に選ばれた岩手県盛岡市。大きく報道されたことで国内外からの旅行客でにぎわう一方で、NYTに推薦したアメリカ人作家が「歩いて回れる宝石のような街」と評した市内中心部ではマンション建設が進み、昔ながらのたたずまいが魅力の盛岡の街並みは変わりつつある。

【写真】岩手山の写真を取り違えたまま配布され、物議をかもしたマンションのチラシ

「宝石のような街」盛岡はコロナ前以上の観光客

NYTの「行くべき52カ所」に盛岡を推薦した日本在住歴20年の作家で写真家のクレイグ・モドさん。

彼は盛岡について「混雑とは無縁で、歩いて回れる宝石のような街」「大正時代に建てられた西洋と東洋の建築美が融合した建物、近代的なホテル、いくつかの古い旅館、曲がりくねった川が街中にあふれている」と同紙に寄せた。

【写真】自然と歴史、文化が息づく盛岡市内。各所でマンション建設が進んでいる様子など(12枚)

このNYT報道を機に、日本のテレビや新聞、webメディアがこぞって盛岡を紹介。その効果もあってか2023年の盛岡市の宿泊観光客数は107万人泊で、コロナ禍前の2019年を上回る数字に。宿泊客数と日帰り客数を合わせた観光入込客数も前年比16.3%増の430万人と好調だ。

外国人宿泊観光客も6万5000人とコロナ禍前の水準に戻り、市観光課は「ニューヨーク・タイムズ紙効果により、欧米諸国からの旅行客が増加傾向」とみている。

歴史ある城下町 古い街並みと町名が残る地区

南部藩の城下町であり、明治・大正のころは商業や文化の拠点として栄えた盛岡。

石垣が残る盛岡城跡公園のすぐ横には、秋になると鮭が遡上する中津川が流れ、そのほとりのエリアに、南部鉄器や染物の工房、リノベーションされた歴史的建造物、老舗の喫茶店などが点在。江戸から近現代まで、さまざまな時代の暮らしぶりが感じられることから、外国人観光客にも人気が高い。

この中津川の南側は古くから河南(かなん)地区と呼ばれ、「紺屋(こんや)町」「肴(さかな)町」といった城下町の歴史を伝える町名が今も残る。

2003年と2006年に市の郊外に大型ショッピングモールが開業したことによる市街地の空洞化やこの地区にあった商業施設の撤退などで、一時期は人通りが減っていたが、その後にマンションや新たな商業施設が建設されたことから、再びにぎわい始めたエリアでもある。

観光名所の目の前も。相次ぐマンション建設

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