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ペルーの「チャンカイ港」、中国が建設主導し開港 南米−中国間の輸送日数と物流コストを低減

東洋経済オンライン / 2024年12月2日 20時0分

チャンカイ港はペルーの首都リマから約80キロメートル離れた太平洋岸に建設された(写真は中国遠洋海運集団のウェブサイトより)

11月14日、南アメリカのペルーの太平洋岸に建設された大型港湾「チャンカイ港」が開港した。同港の建設と運営は中国の国有海運最大手、中国遠洋海運集団(コスコ)が主導している。

【写真】ペルーを訪問中の習主席(左)と同国のボルアルテ大統領

チャンカイ港の開港記念式典には(APEC首脳会議に出席するため)ペルーを訪問中だった中国の習近平国家主席と、ペルーのディナ・ボルアルテ大統領が首都リマの大統領府からオンラインで出席した。

「中国とペルーの共同努力により、チャンカイ港をしっかりと建設・運営し、輸送力を不断に高めることで、両国を含む太平洋沿岸諸国の経済発展を後押しし、ペルーおよび南アメリカ・カリブ地域の繁栄と幸福につながるよう祈念する」。習主席は祝辞の中でそう述べた。

「一帯一路」の重点プロジェクト

リマの北方約80キロメートルに位置するチャンカイ港は、中国が推進する広域経済圏構想「一帯一路」の重点プロジェクトの1つだ。中国遠洋海運集団は2019年、2億2500万ドル(約351億円)を投じて同港の運営権の60%を取得した。

同社の説明によれば、チャンカイ港の開港により中国とペルーを結ぶ海上輸送の所要日数は片道23日間に短縮され、物流コストを2割以上低減できるという。

ペルー側の期待も大きい。「われわれの目標は、チャンカイ港を『南アメリカのシンガポール』に育てることだ」。ペルーのラウル・ペレス・レジェス・エスペホ運輸通信相はそう述べた。

中国遠洋海運集団にとって、チャンカイ港の建設は南アメリカで初めて手がける「グリーンフィールド投資」(訳注:まっさらな状態から行うインフラ投資)であり、計画投資額は35億ドル(約5459億円)を超える。

今回開港したのはプロジェクトの第1期で、投資額は12億9800万ドル(約2024億円)。2つの多用途バースと2つのコンテナ専用バースを備え、貨物の年間取扱能力はコンテナが100万TEU(20フィートコンテナ換算)、バラ済み貨物が600万トン、車両が16万台となっている。

南アメリカの物流ハブにも

中国はペルーにとって最大の貿易相手国であり、輸出先としても輸入元としても最大のシェアを占める。チャンカイ港の開港が、ペルー経済に大きな恩恵をもたらすのは間違いない。

チャンカイ港の効用は、南アメリカ-アジア間の海上輸送の所要日数とコストを低減することだけではない。同港は南アメリカ諸国の各港につながる重要なハブ港になる可能性を秘めている。

南アメリカでは物流インフラの整備が総じて遅れているだけに、(中国の後押しによって)チャンカイ港のハブ港化が実現すれば、南アメリカの域内貿易および中国との貿易がますます盛んになりそうだ。

(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は11月15日

財新 Biz&Tech

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