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中国が輸出製品の「付加価値税還付」を減らす思惑 太陽光パネル、リチウムイオン電池など209品目

東洋経済オンライン / 2024年12月2日 16時0分

中国政府は輸出製品への増値税還付の削減を通じて、国内の過剰生産能力に対する海外からの非難を和らげようともくろむ。写真は広東省深圳市の塩田港(同港の運営会社のウェブサイトより)

中国政府は209品目の輸出製品に対する増値税(付加価値税)の還付を削減する。太陽光パネルやリチウムイオン電池の還付率を13%から9%に引き下げ、銅材やアルミ材などについては還付を中止する。中国財政省(日本の財務省に相当)と国家税務総局が11月15日に発表した。

【写真】車載電池最大手CATLの江蘇省の工場

今回の措置は12月1日から実施され、対象製品の輸出価格は上昇が見込まれる。その狙いはどこにあるのか。

「中国の国内産業が過剰な生産能力を抱える中、(不当廉売などの)国内問題が海外市場に波及するのを防ぐことだ。輸出価格を押し上げ、国内価格の正常化を促すと同時に、国際貿易における(外国から中国への)非難を和らげなければならない」。財新記者の取材に応じた複数の専門家は、そうコメントした。

(訳注:増値税は日本の消費税に相当する付加価値税で、標準税率は13%。商品を輸出する際には一部が還付されるが、品目によって還付率が異なる)

赤字輸出への非難に配慮

太陽光パネルやリチウムイオン電池の業界では、多くの中国メーカーが国内需要を大幅に上回る生産能力を抱え、輸出拡大を競っている。増値税の還付率縮小により、中国企業が海外市場で秩序ある競争を行い、市場シェア獲得のために赤字販売など(の不当行為)に手を染めないよう促す効果が期待される。

「中国国内の産業に対する(中国政府の)優遇政策が、(国内の過剰生産能力を生み出し、そのはけ口として)海外市場での過当競争につながっている状況は、輸出先の国々の理解を得られない」

太陽光発電関連の業界団体の専門家は、財新記者の取材に対してそう前置きしたうえで、増値税の還付率縮小について次のようにコメントした。

「優遇政策の本来の目的は、中国製品の競争力を育成、強化することにある。中国の太陽光発電関連製品はすでに(十分な)国際競争力を備えており、増値税の還付によるサポートはもはや不要だ」

中国のリチウムイオン電池産業では、国内の自動車市場でEV(電気自動車)の販売の伸び率が低下する中、輸出の拡大が生産能力の余剰を埋めるための重要な手段になっている。

増値税の還付率縮小が電池メーカーの経営に与える影響について、ある業界関係者は次のような見方を示した。

「還付率が13%から9%に縮小されても、(輸出減少などの)直接的な影響は大きくないだろう。とはいえ、中国の電池メーカーが海外生産を拡大する動機づけになり、(中長期的には)生産コストの内外格差の縮小につながるのではないか」

鉄鋼製品では効果上がらず

増値税の還付が中止される銅材やアルミ材への影響はどうだろうか。非鉄金属情報サイト「上海有色網」は、2024年の銅材の輸出量を84万トンと予想しているが、2025年は増値税の還付中止により、そこから21万トン減少するとの見通しを示した。

ただし、今回の措置が当局の狙い通りの効果を上げるかどうかは、各業界の今後の動きを見る必要がある。

というのも、2021年に(同様の効果を狙って)低付加価値の鉄鋼製品の増値税還付を中止した際には、国内の過剰な粗鋼生産能力の緩和には至らなかったからだ。その後、海外では中国から安価な鉄鋼製品が流入するのを防ぐための反ダンピング調査が増加し続けている。

(財新記者:羅国平、盧羽桐)
※原文の配信は11月16日

財新 Biz&Tech

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