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司法省「グーグルにクローム売却要求」ヤバい影響 IT業界にこれから大転換の時代がやってくる

東洋経済オンライン / 2024年12月3日 8時0分

他のIT企業かもしれないが、司法省としては営利団体ではないところが、お金儲けではなく研究開発目的で買収してくれるというのが望ましいと思っているのではないでしょうか。

25年前のマイクロソフトの事例と似ている

――司法省は1998年に反トラスト法違反でマイクロソフトを提訴し、2000年に連邦地方裁判所がマイクロソフトを2社に分割する是正命令を下しています。その後和解が成立して分割は免れましたが、そのときと今回との違いはありますか?

似ています。マイクロソフトは、OS(基本ソフト)のWindows(ウィンドウズ)とブラウザのInternet Explorer(インターネットエクスプローラー、IE)の抱き合わせ販売が問題になった。

当時はNetscape(ネットスケープ)というブラウザが優勢だったのですが、マイクロソフトはパソコンメーカーに対してウィンドウズを搭載したパソコンを発売するなら、マイクロソフトは必ずIEを搭載してくださいと制限をかけた。それがいわゆる反トラスト法に違反しているということで司法省は訴えた。

ちょうどインターネットが新しい産業として盛り上がってきていたときで、マイクロソフトは自社のブラウザを無理やり消費者に使わせることによって、これからのインターネット市場で権益を確保しようとしたわけです。

グーグルもAndroidやクロームを使わせることによって、当面は検索エンジンのシェアを確保しようとしている。

さらにこれから重要になってくるのはAIですよね。今回のグーグルの件も最初は検索エンジンから始まった訴訟だったのですが、いつの間にか議論がAIにすり替わった。

公判の途中でもそれは明らかになってきていて、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが証言台に立ったのですが、彼は途中からAIの話を始めた。今のグーグルの状況を野放しにしておけば、彼らはどんどんデータを集めて、これからのAI開発は検索と同様にグーグルの独占状態を作ってしまうだろう、と。

――AIが台頭してこなければ、今回のような結果にならなかった可能性もある?

AIはあくまでもこれからの話で、それによって判決がまったく違ったものになったということはないと思います。

AIの時代に移り変わる象徴的な裁判に

――今回の裁判がIT業界にどのような影響を与えると思いますか。

マイクロソフトの裁判では、彼らは分割を免れたけれどもIT業界における支配力が衰えた。その結果として、次世代の企業、グーグルやアマゾン、フェイスブックなどが台頭してくる余地が生まれた。

それと同じことが今回の裁判で起こる可能性があります。グーグルの業界に対する支配力が衰え、空白となった地帯におそらくAI系の企業が勃興してくる。つまりインターネットの時代からAIの時代への移り変わりを象徴するような裁判になると思います。

倉沢 美左:東洋経済 記者

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