NASAで起こった「最悪の事故」から学ぶべき"教訓" なぜ「100年に一度の出来事」が頻繁にあるのか
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 16時0分
世の中はめまぐるしく変化している。未来を正確に予測できる人は誰もいない。しかし、どんなときも“人間の本性”は変わらない――。
『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方』では、世界各国で600万部と大反響を呼んだ『サイコロジー・オブ・マネー』の著者、モーガン・ハウセル氏が、お金から視点をさらに広げ、どんな時代がきても賢くサバイブするための「人生教訓」を伝授してくれます。
本稿では、同書から一部を抜粋してお届けします。
NASAで起こった「最悪の事故」
ロケットでの宇宙飛行を前に、NASAの宇宙飛行士たちは高高度気球(訳注:高層大気に放たれる気球)に乗って数回にわたるテストを行なった。
1961年5月4日、アメリカ人のヴィクター・プラザーともう1人の宇宙飛行士を乗せた熱気球が、高度およそ3万5000メートルという、宇宙の端をかすめるほどの高さまで上昇した。目的は、NASAの新しい宇宙服を試すことだった。
飛行は成功し、宇宙服も問題なく機能した。
地上に戻ってきたプラザーは、自力で呼吸できるくらいまで高度が下がったところで、新鮮な空気を吸おうと、ヘルメットのフェイスプレートを開いた。
彼は予定どおり海に着水した。そこからはヘリコプターで安全な場所まで運ばれることになっていた。しかし、そこでちょっとした不運なアクシデントが起こった。ヘリコプターの救助ロープと体を連結させている最中に、滑って海に落ちてしまったのだ。
これ自体は大した事故ではなく、救助ヘリの隊員も誰一人うろたえなかった。宇宙服は防水仕様になっていたし、浮力もあるはずだったからだ。
ところが、フェイスプレートを開けていたために、プラザーは水に無防備になっていた。海水が宇宙服に流れ込み、彼は溺死した。
人間を宇宙に送り出すのに、どれだけの計画を立てる必要があるか、考えてみてほしい。
さまざまな専門知識を駆使して、いくつもの不測の事態に備える。もしこうなったら、さらにそのあとこうなったらと、どれだけ多くのことを想定するか。あらゆる細部に至るまで、何千人もの専門家が熟慮する。
おそらくNASAは、かつてないほど計画重視の組織といえるだろう。胸で十字を切って幸運を祈るだけでは、月には行けない。考えうるリスクすべてについてプランA、プランB、プランCが用意されている。
それでも、そこまでの計画をもってしても、誰も想定していなかった些細な出来事が大惨事を招く。
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