「週3日働き年収2000万」オジサンのニッチな仕事 「元手ゼロ」で楽なビジネスを軌道に乗せたワケ
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 18時0分
「あのような、小さなビルのオーナーは、少しでもリスクは減らしたいものなのですよ。そこに、ビルの屋上に広告出しませんか?って営業をかけたら、間違いなく一度は話を聞いてくれるんですね」
「ああ、なるほど。だから稼いでいるのに、こんなところで飲んでいるんだ」
「おぉ兄さん、よくわかったねぇ」
一見受け答えになっていない私の反応が、相当嬉しかったようで、オジサンはニヤリと笑いました。
「もともと私は印刷屋で、広告営業の仕事をしてまして。その時の人脈で、ビル広告を出したい広告主さんと、ビル看板を出したいオーナーさんを繋いでいるのですよ。
だから、オーナーさんや広告主さんと会って話をまとめるのが週3日くらい。あとは、印刷会社とデザイナーにメールで発注して、出入金を確認したら仕事は終わり。ね、楽ちんでしょ」
最初は詐欺師、次は単なる自慢話かと疑ってましたが、その正体は、元手ゼロで楽ちんなビジネスを立ち上げた、なかなかやり手のオジサンでした。
株でも不動産でも投資するには少なくない元手が必要ですし、元本割れするリスクは常にあります。どんなに慎重かつ計画的に行っても、資産運用でFIREできる人より、失敗する人のほうが多いのが現実です。
ところがこのオジサンの場合、持ち出しはゼロです。
元印刷会社の営業という職歴で得た人脈で、物件のデッドスペース=屋上にビル広告という付加価値を発生させて、不動産オーナーには広告収入を、印刷会社やデザイナーには仕事を発生させて、オジサンは手数料という形で生活費を得る仕組みを作ったのです。
「大通りに面した大きなビルの看板広告はそれ相応の広告費ですし、そこに広告を出せる企業に繋げるのは、それなりの規模の広告代理店になりますよ。
でも、よく見ると小さいビルで看板広告出せるところはまだまだたくさんありますし、そういうところは広告費が安すぎて大手は手を出さない」
「それで広告費が安ければ、看板出したい会社も出てくる、ということですね?」
そうそう。そういうことですと、オジサンは満足したようにカップ酒を飲み干して、もう一杯注文しました。
市場の「隙間」は簡単に見つけられる
「それで、こうやって飲みながら次の営業先を探しているわけですね?」
満足そうにカップ酒を飲むオジサンに、私は最後の答え合わせの質問をしてみました。
私の経験上、結構、こういう小さなビルの個人経営の飲み屋の店主がビルそのもののオーナーだったり、テナントの飲み屋にオーナーが飲みに来ることが結構あったからです。
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