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「惰性でネットニュース」より効果的な情報収集法 まずは自分にとっての「ベスト情報源」探しから

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 7時40分

ビジネスパーソンにとっての“仕事をする上での情報”とは(写真:mits/PIXTA)


情報収集の重要性を認識しているビジネスパーソンは多いと思う。

一職業人として仕事をこなし労働市場でサバイブしていく上で、そして一生活者として生活を豊かで実りあるものとする上で重要となる。

「目で追うだけ」はNG

情報収集とはビジネスパーソンにとっての知的栄養補給だ。

一方で、情報収集のあり方というか、正しい方法についてキチンと考えたことのあるヒトはあまりいないように思える。

満員電車で新聞の両面を器用に2つ折りして手品のようにくるくるとめくって、というのが一時常識であった今の40代以上であれば、日経新聞読んでりゃOKと考えるヒトもいるだろうし、その他の世代でもネットニュースで十分と考えるヒトもいれば、必要に応じて都度検索というヒトもいるだろう。

そもそも情報収集というのは、情報を見たり眺めたりするためにあるのではなく、得た情報をもとに自分の頭で考え、知識ではなく自分の知恵にまで昇華させるための作業である。

つまり、目で追っているだけ、では不十分であり、その先の思考にまでもっていくことが大切なのだ。

ではビジネスパーソンにとっての、仕事をする上での情報とは何であろうか?

それは大きく分けると、特定の専門分野に関する事項と、よりマクロというか業界やビジネス環境を取り巻く大所高所の視点や世の中の流れ、ということになろう。

短期的な視点と長期的な視点、と言い換えてもいいかもしれない。

多くのビジネスパーソンにとって、情報収集というのは前者、つまり自分の目先の仕事や自分の専門分野に係る事項が大半であるのではないだろうか。

もちろん仕事をしていく上で、その分野における情報収集は非常に大切である。

繰り返しになるが、ここでいう情報収集とは単なる眺める作業や目で見てわかったつもりになることではなく、自分なりの思考や解釈、つまり知恵にまで落とし込む作業のことをいう。

そのように考えると、思考というプロセスにまで深く落とし込む手前の段階で終わってしまっているヒトも多いのかもしれない。

自分にとっての「ベストソース」はあるか

いずれにしても、自分の担当が経理なら会計や税務知識のアップデートであったり、法務であれば法曹界の動きであったり、営業であれば自社や販売先の関することや自社製品や競合製品などに係る分析作業なりであるが、そういった専門分野の情報収集は誰の目に見てもその重要性は分かることだろう。

そして、「この分野であればこのサイト」とか、「この専門家のSNS発信が一番分かりやすい」とか、自分なりのベストソースを持っているケースが大半であろう。

それは先輩社員や上司からの推薦であったり、セミナーなどからで得たソースかもしれないが、いずれにしても自分自身も当該分野においてベースとなる知識が多少なりともあることから、ベストソースを自分で見極めることはあまり難しいことではないだろう。

反対に言うと、そういった専門分野における情報収集において、ベストソースとなるような何かを持っていない、というのであればまずは焦るべきだし、もっと真面目に業務に取り組むべきだ。

学校での勉強よろしくOJTだけで全てが賄えると考えてしまうようなことではいけない。

OJTや仕事を通じた知識や知恵はあくまでも、その会社でのやり方であったり「誰かのやり方」であったりするケースが多く、また何よりも全体感の把握が難しい。

そういった固有の解を持つことも大切なのだが、あくまでも一般解というか全体感をキチンと理解した上で、「このやり方がベスト」という流れにもっていかないと、いつまでも自分自身の知恵にはならないのだ。

そのままだと転職したら全く勝手が違いパフォーマンスが落ちたとか、もっと効率的なやり方があるのにその方法しか知らないからいつまでも時間がかかって前に進めないとか、そういった事態になりかねない。

したがって、そういった専門分野においては、もっともその専門分野もより細分化されて「Aについては●●」「Bについては●●」というようにパーツごとにベストソースができるケースが大半であろうが、自分にとってのベストソースを早く見つけるべきなのだ。

マクロ視点での情報収集の方法は?

ではそれ以外のより広い視点での分野における情報収集はどうであろうか?

生成AIやDXといった仕事のやり方はもちろん自分の所属する会社や業界に影響を及ぼしうる技術革新だけではなく、地政学リスクを含む国際情勢、業界のトレンドに始まり、「今の時代に求められるあるべきビジネスパーソン像」なんかもここには含まれる。

要は目先の仕事やタスク関連だけではなく、より幅広いが自分の仕事や生活に影響を与えうる事項に関する情報収取ということだ。

繰り返しだが、この分野においては「そもそもこれは何か」に始まり、「自分にはどういった影響が出うるのか」、そして「だから今はこれをやろう」にまで落とし込む一連の作業が情報収集だ。

この分野においては前述の専門分野とは異なり、「自分自身に一定量の知識がそもそもない」ケースもあり、ベストソースは何かすら想像がつかない、ということも大いに考えられる。

つまり、全体像を把握しようにも正確性を担保できる情報にそもそも出会うことが難しい、ということだ。

複数のソースを活用し、客観的な視点を養うべき

新聞やネットニュースを見てるけど今一分からない、というヒトは多いだろう。

それはそのハズで、そういった媒体は誰かのためにカスタマイズされた分析を届けるのが役目ではなく、あくまでも「フレッシュな情報を幅広くそしてより早く事実として伝える」のが目的であるからだ。

つまり、表面的な事象などを伝えるのがメインであり、より深い分析、特に個々人にとって有益な分析までなされていないのだ。

だから、知識として分かったつもりになっても、それを体系だって自分の言葉で説明ができるかとか、自分の仕事にどのような影響が出うるかにまで思考を巡らせるような深い理解にまで落とし込むことは難しいのだ。

とは言え新聞やネットニュースに価値がないかというともちろんそんなことはない。

新聞やネットニュースをメインのソースにしたい、ということであれば複数のソースを持つべきだ。

なお、この場合の「複数」は分野にもよるが、例えば国際情勢などは日本のメディアに加え、海外のメディアソースで情報収取し、より客観的な立場に立った自分なりの視点を持てるようにすることが大切だ。

立場や環境の異なる視点からどのように捉えられているかや、そもそも論として情報量が圧倒的に違っていたり、前提が異なる議論がなされていたりするので、先ほどの例ではないが、一部のメディアによる固有解ではなく、より全体感や一般解の理解に寄与するだろう。

日本のメディア加えてCNBCやBBCといった映像メディア、FTやWSJ等の新聞系メディアやその周辺のSNSなどなど。

日本人にとって言語という意味でなじみのあまりない地域、例えば中東や東欧のエリアにおいても英語で発信する映像や記事メディアは存在する。

とある地域、例えばロシア・ウクライナ問題や中東情勢に関してそういった地域の英語メディアを参考にするとまた異なる視点や解釈を得ることができるであろう。

英語ができないからと躊躇する必要はそれこそ最近はあまりないのもほぼ常識だ。

情報収集の3ステップ

いずれにしても、まず最初の段階ではトレンドや全体感を理解するために、複数のメディアソースを活用し、客観的な視点を養うべきだ。

そしてその後は、ある程度時間がたってくると、速報を伝えるのがメインではなく分析を加えるのがメインの本の出版やSNS発信が出てくるから、そこでも「この分野はここが良さそうだ」みたいにして自分にとってのベストソースを見つける、という作業を行えばよい。

そのようにして最初は何も分からなかった状態から、全体感の把握→固有解の探求→自分なりの解釈、に昇華させていくべきだ。

繰り返しだが、情報収集とはビジネスパーソンにとっての知的栄養補給だ。

だからそこ自分にあったベストソースややり方を見極める必要があるのだ。

安井 元康:『非学歴エリート』著者

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