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「既存メディアVSネット」で見落とす"大事な視点" マスコミは偏向、SNS情報こそ真実は正しいのか

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 14時0分

繰り返しになりますが、ネットと既存メディアの2択で「どちらかに『真実』がある」と決めつけるのはいちばんよくないことです。

さて、そうなると問題は「割引率」です。それぞれのメディアはどれくらい信頼できるのでしょうか。

「信頼できる」けど「読まれない」新聞

総務省のアンケート調査によると、「政治・経済問題」について最も信頼度が高いメディアは新聞です。「非常に信頼できる」と「ある程度信頼できる」の合計は83.8と非常に高い。テレビも78.8%と高水準です。(出所:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査)

ネット情報では、「インターネットニュースサイト」が59.5%と比較的高い信頼度を得ています。ただ、この中には新聞社や通信社、出版社などが運営するメディアや、既存メディアのニュースのまとめを主軸とするキュレーションサイトも含まれています。

ネット独自の情報源である「ソーシャルメディア」の信頼度は27.6%、「動画配信・動画共有サイト」は21.8%にとどまります。

ざっくりまとめると、既存メディアはおおむね信頼できて、YouTubeなどの動画サイトは「眉唾」だと思われている状況です。これは多くの人の肌感覚に合うのではないでしょうか。

一方、平日のメディア別利用時間を見ると、ネットの1日平均194.2分に対して、新聞はわずか5.2分と大きな差があります。20代から50代では、そもそも新聞を読んでいる人はマイノリティーです。情報源としての重要度は新聞の44.3%に対してネットは81.5%と、ネットの存在感は圧倒的です。

ここから、浮かび上がってくるのは「ネットより信頼できそうだけれど、わざわざ新聞を読む気にはならない」という平均像です。

私が提案したいのは「ネットやSNSだけじゃなく、新聞くらい読もうよ」ということです。そして、どちらも批判的に読もうよ、ということです。

真実と嘘が入り交じる

どちらにも、いくらかの本当といくらかのウソが混じっている。既存メディアにも誤報はあります。とんでもない大誤報だってある。でも、ほとんどの場合、ウソの割合はネット情報のほうが圧倒的に高いでしょう。

玉石混淆という言葉がありますが、感覚的には「玉石石石混淆」といったところではないでしょうか。もっとたくさん「石」を追加したいところですが、見苦しいので控えます。

ネットには既存メディアには出てこない専門家が唸るような解説もあります。でも、そうした「玉」と、出所不明の未確認情報や世論誘導を狙ったデマといった「石」まで、等価に並んでいるのがネットの世界です。

そんなごった煮から質の高い情報を見極め、「石」は適度に割り引くという作業には、相当高いリテラシーが求められます。多様なメディアに接して訓練を積まなければ、簡単に「石」につまずいてしまうのです。

信頼できるメディアを「マスゴミ」と蔑んで遠ざけることに快感を覚え、「つまずきの石」だらけの道を突っ走れば、メディアリテラシーを身につける機会はますます遠のくでしょう。

最近の選挙戦を巡るSNSの影響力の高まりは、そんな落とし穴にハマっている人が急増しているのを示しているのかもしれません。

自分の情報収集のバランスが取れているのかをチェックするためにも、今こそ新聞の価値を見直してみてはどうでしょうか。

高井 宏章:経済コラムニスト / YouTuber

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