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脱エンジンのホンダ、「EVの加速」阻む厳しい現実 北米でEV販促費1000億円増、エンジン車延命も

東洋経済オンライン / 2024年12月5日 7時30分

10月に開かれた技術説明会で、ホンダの三部敏宏社長は「BYDやテスラに対抗するためには、既存の価値観の延長線上にはない新しい価値をつくらないと生き残れない」と強調した(写真:ホンダ)

2040年の「脱エンジン」宣言をしたホンダが電気自動車(EV)の罠にはまっている。

【写真】ホンダが導入予定のアルミ鋳造設備「メガキャスト」で製造された車体部品

「ホンダが北米で売る『アコード』を含むエンジン車3車種について、2020年代後半以降を予定していたディスコン(モデルの廃止)の延期を決めたようだ。三部(敏宏)社長はEV化を加速したかったが現場の強い反対で折れた」。あるホンダ系部品メーカーの幹部はそう明かす。

2050年にカーボンニュートラル社会を実現すると車両から排ガスを出すエンジン車は存在を許されなくなる、自動車の使用期間を考えると2040年にはエンジン車の販売をやめなければならない――ホンダの三部社長はこうした背景と問題意識から脱エンジン車宣言をしたと繰り返し強調してきた。

実のところ「2040年」は、社内外への危機意識の伝達も含めた努力目標の意味合いが大きい。それでも水面下では、アコードや「シビック」「CR-V」などのハイブリッド車(HV)を含むエンジン車モデルについて2025~2034年にかけて順次ディスコンする計画を年ごとに詳細に策定していた。

しかし、世界的にEVの普及は減速が鮮明になる一方、北米を中心にHVを含めたガソリン車需要は底堅い。欧米競合はEVシフトの計画や目標の修正を相次いで打ち出している。ホンダは「2040年」は維持しているものの、一部車種の廃止計画を見直し始めている。

EVのインセンティブは1万ドル

2024年3月、ホンダは初の量産EV「プロローグ」と高級車ブランド「アキュラ」として初のEV「ZDX」を北米に投入した。いずれもアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)と韓国のLGエナジーソリューションが共同開発したEV向け電池「アルティウム」を搭載したモデルだ。

調査会社マークラインズによると、2024年10月末までの販売台数はプロローグが1万8310台、ZDXは4229台。10月単月ではプロローグが4138台で北米でのEVランキングで7位、ZDXは1218台と同22位。ホンダブランドとアキュラブランドで初のEVとしては悪くないスタートといえる。

しかし、青山真二副社長は「北米ではEVに対して当初想定よりも台当たり7000ドル(約106万円)程度多くインセンティブ(販売奨励金)を使っている」と決算説明会で明かした。藤村英司CFOは北米でのEVのインセンティブについて「(2025年3月期通期平均で)1万ドルを超えるぐらいという位置づけ」と説明している。

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