発電最大手JERA、電力取引で「相場操縦」の深層 4年半もルール違反、ユーザーの利益侵害も
東洋経済オンライン / 2024年12月5日 7時40分
大手電力各社ではここ数年、担当幹部らがお互いに示し合わせて営業行為を制限するカルテルや、顧客情報の不正閲覧など、数々の不正行為が発覚している。そして今度は、日本最大の発電企業であるJERA(ジェラ)で、電力市場での入札で約4年半にわたってルール通りに売り札を出さず、「相場操縦」に該当する行為が続けられていた事実が新たに判明した。
経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会(以下、電取委)は2024年11月12日、日本卸電力取引所(JEPX)が開設する翌日市場(スポット市場)と呼ばれる市場でのJERAによる売り惜しみ行為が、公正取引委員会と経済産業省が定めた指針(取引のルール)で禁止されている相場操縦に該当すると認定。同社に対して電気事業法に基づき法令遵守や再発防止策などを求める業務改善勧告をした。
JERAは東京電力ホールディングスと中部電力の折半出資によって2015年4月に設立され、2019年4月に両社の火力発電事業を譲り受けた。東電グループの企業に対する相場操縦を理由とした業務改善勧告は、2016年11月に小売企業の東京電力エナジーパートナーが市場価格のつり上げを理由に勧告を受けて以来の2度目だ。
発電最大手企業にメスが入った
今回の不正事件では、市場支配力を有する巨大企業でのコンプライアンスを軽んじる社内体質の存在が浮き彫りになった。
JERAが実施した社内調査では、現場担当者や担当責任者が、余剰電力を取引するスポット市場にルール通りに売り札を出していない事実を認識していながらも是正せずに放置していたことが明らかになった。
電取委の発表によると、問題が発覚したのはJEPXの「東京エリア」での取引だ。
公取委と経産省が設けた取引ルールでは、市場支配力を持つ電力会社は、発電できる電力のうち自社の小売り部門の需要および他社との相対取引などを除いた余剰の電力について、そのすべてをJEPXが運営する市場に売り札として出すことが事実上義務付けられている。これは市場取引を手掛ける大手電力会社にとって「基本中の基本」であり、同じJERAの社内でも、中部エリアではルール通りに取引が行われていた。
ところが、JERAの東京エリアでの入札業務に関与する部署はそのルールを守らず、余剰電力を市場に売り札として出していなかった。
当該ルールによれば、工事などで送電線の一部が停止中の場合でも、電力を送ることができる容量がある場合には、それに対応して売り札を出さなければならない。
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