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石破政権発足2カ月、危機打開のカギは"原点回帰" 「謙虚な姿勢」で国民民主取り込みに腐心

東洋経済オンライン / 2024年12月5日 10時0分

そうした中、石破首相の所信表明に対しては、自民席からの拍手だけでなく野党席からの野次も少なく、議場内の熱気の乏しさが目立った。ただ、国民民主が求める「年収103万円の壁」の引き上げを石破首相が明言した時は、国民民主の一部議員から拍手が起こり、「玉木雄一郎代表も大きくうなずく姿が印象的」(政治ジャーナリスト)だった。

所信表明を受けて12月2日から4日まで衆参両院本会議で実施された各党代表質問は、「これまで通り一方通行のやりとりだったことに加え、ひたすら答弁メモを読み続ける石破首相の対応で、所信表明と同様に論争は盛り上がりを欠いた」(同)のは否定できない。

その中で石破首相は、野党側が問題視する使途公開が不要な政策活動費を巡り、「使い方は抑制的でなければならないと考えていた。先の衆院選で選挙運動のために支出していない」として衆院選での使用を否定。その一方で、来夏の参院選で裏金問題に関与した候補者の党公認・非公認の判断については、衆院選同様の基準で検討する考えを示すことで、政治と金の問題に厳しく対処する姿勢をアピールした。

政策活動費は、政党から党幹部ら政治家個人に支給され、その使途を公開する必要がない。これまで自民党は、年10億円程度の政策活動費を幹事長に支給し、主に選挙活動に充てていたとされる。これについて、石破首相は当初、「衆院選で使うことはある」と発言していたが、批判を浴びて「選挙に使うことはしない」と見解を一転させた経緯がある。

「企業・団体献金」禁止には慎重姿勢

衆院選の公認を巡っては、党則の「選挙の非公認」より重い処分を受けた議員を非公認とし、さらに「非公認」より軽くても衆院政治倫理審査会で説明していない候補者などを非公認とした。これも踏まえ、石破首相は「衆院選と違う対応を現時点で考えていない。国民に納得していただける対応を考えていく」と語った。

さらに、野党側が求める「企業・団体献金」禁止についても改めて慎重姿勢を示し、最高裁判決でもこの政治活動の自由は認められていることも踏まえ、「さらなる規制は必要性、相当性をよく議論する必要がある」と繰り返した。

代表質問終了を受け、5・6日の両日には、全閣僚が出席する衆参予算委員会が開かれる。石破首相や各閣僚にとって初の予算委審議となり、野党側は石破首相だけでなく、各閣僚の資質や政治姿勢を厳しく追及する構えだ。このため、展開次第ではその後の国会運営の構図が大きく変わる可能性も想定される重要な論戦となる。

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