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ワタミの「サブウェイ買収」に見る居酒屋の"衰退" コロナを経て、飲み会はすっかり過去の文化に?

東洋経済オンライン / 2024年12月10日 8時30分

ワタミのブランドのひとつである「三代目鳥メロ」(筆者撮影)

居酒屋『和民』で一斉を風靡したワタミが、米サブウェイと日本国内でFCを展開する契約を結んだほか、米サブウェイ日本法人を買収したことが大きな話題となった。

新著『ニセコ化するニッポン』も話題の、気鋭のチェーンストア研究家・谷頭和希氏は、背景には「居酒屋業界の衰退がある」と指摘するーー。

ワタミが、サンドイッチチェーンとして知られるサブウェイを買収し、話題となった。

【画像】こんなに減ってるの? ワタミの「店舗数」の推移

居酒屋チェーンによる、サンドイッチチェーンの買収という”異色の買収”ということもあって、さまざまな角度から分析する記事が出ている。その中でも、サブウェイが日本市場で伸び悩みを見せていることを語るものが多い。

一方、筆者が気になるのは買収元であるワタミのほうだ。というのも、この買収はワタミにとっても大きな方向転換であり、今後のワタミの姿を占うものだと感じているからだ。それはなぜか?

ワタミ側の事情、そしてサブウェイの今後の展望について触れながら解説しよう。

もはや居酒屋だけの会社ではないワタミ

そもそも、現在のワタミはどのような会社なのだろうか。

2025年3月期上期の決算では、国内外食事業の売り上げが163.7億円で営業損益が6.9億円、一方、宅食事業は売り上げが201.5億円に対し、営業損益が23.4億円となっている。実は、売り上げ・利益ともに宅食事業のほうが上なのだ。

私たちは「ワタミ」といえば居酒屋を思い浮かべるかもしれないが、実はその実態を見ると「宅食サービス屋」といってもよいぐらい。もちろん、飲食業での利益はあるものの、主力が宅食事業に移りつつあるのは確かだ。

こうした居酒屋事業の縮小は、その店舗数にも表れている。

2020年3月のコロナ直前期には491店舗あった店舗は、現在、317店舗にまで減少している。4年半で、実に35%近い店舗を閉店したことになる(説明会資料より)。

また、そのうち190店舗はミライザカ・鳥メロであり、社名を冠した「和民」は2021年、コロナ禍の最中にひっそりと姿を消している。

苦難を招き、事業の多角化を進めてきたワタミ

このように、もはや宅食が事業の柱となっているわけだが、ワタミが外食事業以外を手がけるのは新しい話ではない。

「和民」1号店は1992年に笹塚に誕生。1996年には店頭公開し、2001年には海外へ出店した。一方で、外食だけに頼らない企業構造を目指すべく、2004年には介護事業、2008年には宅食事業への参入も果たした。2010年にはこれらを合わせた事業収入が、外食の売上高を超すまでに成長した。

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