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自動車部品ボッシュ、欧州と中国に「真逆」の課題 ドイツ中心に5550人削減、中国は開発体制強化

東洋経済オンライン / 2024年12月11日 16時30分

ボッシュは欧州市場ではEVシフトの失速、中国市場ではスマート化の加速への同時対応を迫られている。写真はドイツの研究開発拠点(同社ウェブサイトより)

世界的な自動車部品大手のドイツのボッシュは11月22日、今後数年間に全世界で5550人の従業員を削減すると発表した。そのうち3800人は本拠地のドイツの従業員が対象となる。

【写真】ボッシュの中国法人は電動車やスマートカー向け技術の現地開発を加速している。

部門別の削減人数は、自動運転システムなどのソフトウェア開発部門で3500人、モーター工場で750人、ステアリング部門で1300人としている。この計画に対し、ドイツ最大の産業別労働組合IGメタルは即座に反対を表明した。

電動化のペースを読み違え

ボッシュは人員削減を迫られた要因として、自動車業界の生産能力が全体的に過剰となっている中、クルマの電動化、スマート化、ソフトウェアによる集中制御化など(の次世代技術)への移行が想定したほど進んでいないことを挙げた。

欧州自動車工業会のデータによれば、ヨーロッパ市場における2024年1月から10月までのEV(電気自動車)販売台数は前年同期比4.9%減少した。金融情報サービス大手のS&Pグローバルは、2025年上半期(1~6月)のヨーロッパ市場の自動車販売に占めるEVの比率の予想を27%から21%に引き下げた。

ヨーロッパの完成車メーカーの多くが次世代プロジェクトの延期や中止に追い込まれており、部品メーカーのボッシュも経営戦略の見直しと生産調整が避けられなくなった格好だ。

ところが中国市場に目を移すと、ボッシュは(ヨーロッパ市場とは)真逆の課題に直面している。中国の自動車メーカーはクルマの電動化やスマート化で世界をリードしており、それに追いつく必要に迫られているのだ。

中国市場では新車の月間販売台数に占めるEVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)の比率が、2024年7月から4カ月連続で50%を超えた。市場の主役はもはや(エンジン車から)EV・PHVに交代したと言っても過言ではない。

さらに、消費者が新車を購入する際の決め手として、スマート機能の高さがますます重視されるようになっている。例えばメーカー希望価格が20万元(約426万6800円)前後の新車の場合、最低でも高速道路に対応した先進運転支援システム(ADAS)を搭載していなければ、中国の消費者には今や見向きもされない。

中国法人に大きな裁量

「わが社は中国市場の変化に積極的に対応している。ボッシュの電動車向け部品の多くは、中国で最初に量産を始めた。中国法人(の研究開発部門)は、電動車やスマートカー向けの部品や機能の開発も主導している」

ボッシュ中国法人の総裁(社長に相当)を務める徐大全氏は、財新記者の取材に対してそう述べた。

クルマのスマート化に関して、ボッシュはもともとハードウェアとソフトウェアを統合したソリューションを目指していた。しかし徐氏によれば、中国では完成車メーカーによるスマート機能の自社開発のトレンドを尊重(して協業)する方向に、すでに舵を切ったという。

「中国市場で起きている変化は、やがて全世界に広がっていく。ボッシュ本社が中国法人の研究開発に大きな裁量を与えているのは、中国での経験の蓄積を将来のグローバル事業に生かすためだ」。徐氏はそう強調した。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月23日

財新 Biz&Tech

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