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医学部合格した子どもがこっそり食べているもの 受験生の夜食に「カキ雑炊」が最適な理由

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 8時20分

「受験生に絶対的に必要な栄養素」とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

医療機関専門のサプリメントメーカーを創業して18年になる田村忠司氏がこのたび『【新版】サプリメントの正体』を上梓した。サプリメント業界の裏側、本当に飲む価値のあるサプリ、飲んではいけないサプリを赤裸々に語り、発売直後から大きな反響を得ている。

栄養療法に取り組む医師・歯科医師・医療従事者に向けたセミナーを全国で開催し、そのわかりやすさ、栄養療法の知識の深さで多くの医師から絶大な信頼を得ている田村氏が「受験生に絶対的に必要な栄養素」について語る。

医学部合格の最終兵器

早いもので今年ももう年の瀬を迎えてしまいました。年が明ければ本格的な受験シーズンが始まります。

【写真をチェック!】サプリメントと栄養の裏側がわかる!

受験生はもちろんですが、受験生の親御さんにとっても気の抜けない時期となることでしょう。中には自分の受験のときよりも緊張するという方もいらっしゃると思います。お子さんの受験に際して親としてサポートできることはなんでもしてあげたいと考えるのが親心ですね。 

受験に臨むお子さんを親がバックアップする方法はいろいろありますが、中でも重要なポイントが「栄養補給」です。必要な栄養が取れていなかったら頭は働きませんよね。

どんなに性能の良いエンジンを搭載した車も、整備不良だったり、燃料不足だったりしたら走ることができません。

人間も同じです。受験に勝つためには栄養の視点が必須なのです。

私は長年栄養療法を行うクリニック向けにサプリメントを提供する仕事をしてきた中で全国のドクターの方々と親しく交流させていただいています。ドクターのお子さんは医学部をめざすケースが多いです。そして栄養療法に詳しい医師、歯科医師の先生方は、みなさん受験するお子さんの栄養をよく考えてバックアップしていらっしゃいます。「田村君に教えてもらった『あれ』を取らせたら志望校に合格できたよ」とお喜びの声を聞くことも多くあります。

それでは、医学部に合格した子どもたちがどんな栄養素を取​っていたのかも含め、受験に勝つための栄養を考えていきましょう。

脳の活動には大量のエネルギーを必要とする

脳が活動するためには大量のエネルギー、そしてさまざまな栄養素が必要です。脳は全身の2%程度の重量しかないのに、20%ものエネルギーを消費するといわれています。

私たちの生命活動を行うためのエネルギーはブドウ糖をはじめ、脂肪やタンパク質からも作られる「ATP」という物質です。ATPは栄養をとり込んだり老廃物を排出したり、筋肉を収縮させて体を動かすなど、あらゆる生命活動に関わっています。もちろん脳の活動にも欠かせません。このATPを主に合成するのは細胞内のミトコンドリアです。

実は脳は手持ちのATPを「21秒」で使い切ってしまうといわれています。つまりどんどんATPを生産しないと追いつかないのです。

ATPが足りないと、集中力、記憶力が低下するだけでなく、疲れやすくなってやる気も喪失してしまいます。

集中してしっかり勉強をするためにはATPが円滑に生産され続けることがなにより大事です。ではどうしたらATPがしっかり生産されるのか。そのカギは「栄養素の摂取」と「血糖の安定」にあります。

ブドウ糖からATPを産生するためにはいろいろな栄養素が必要ですが、特にビタミンB群、鉄、マグネシウム、亜鉛が重要です。

これらを多く含む食事を取りましょう。

脳のエネルギー(ATP)を生み出す栄養素

ビタミンB群を多く含む食品・・・豚肉、鶏肉、サバ、カツオ、玄米、アーモンドなど

鉄を多く含む食品・・・レバー類、牛もも肉、カツオ、マグロ、赤貝、めざしなど

マグネシウムを多く含む食品・・・海苔、納豆、ほうれん草、バナナ、イワシの丸干しなど

亜鉛を多く含む食品・・・カキ、カツオ、サバ、イワシ、レバー類、牛肉、カシューナッツなど

血糖の安定も重要

「血糖」がなぜ勉強と関係があるのかと不思議に思われかもしれません。しかし血糖値が安定していることは受験生にとって死活問題といえるほど重要なことです。

前述のとおり、ATPを作るにはブドウ糖が必要です。血糖とは血中のブドウ糖の濃さですが、身体にとって血糖値が低くなるのは一大事です。

体は血糖値が下がると、血糖値を上げようとしてさまざまなホルモンを分泌します。こうしたホルモンは、受験生にとって大きなマイナス作用も引き起こします。頭痛、食欲不振、吐き気、冷や汗、緊張感、イライラ、手や体の震え、不安・恐怖感などです。集中力ももちろん落ちてしまいます。

これを避けるには血糖値を安定させることが重要です。そのためには「上手に補食を取る」ことがまず大事です。お腹がすいたときはすでに血糖値が下がってしまっていますから、お腹がすく前に小さめのおにぎりやバナナ、スープなどの補食で糖質を補給しましょう。

この際、糖質を一気に食べすぎると、血糖値の乱高下を招きます。とくに、塾飯(めし)や夜食は糖質に偏らないように気を付けてください。糖質は抑えめに、タンパク質・ビタミン・ミネラルをしっかり補給しましょう。

私事で恐縮ですが、私の受験生時代、夜食の定番は「カキ雑炊」でした。カキ雑炊はお米の糖質に、卵とカキに含まれるたんぱく質、ビタミン・ミネラルが豊富に加わった食べ物です。そして、食卓にはビタミンCのスティックも常備されていました。おそらく仕事柄栄養にも詳しかった父が母にアドバイスしていたものと推測しています。

念のために申し上げておきますと、もちろん毎日カキ雑炊の夜食だったわけではありません。糖質ばかりでなく、タンパク質やビタミン・ミネラルも摂ることがポイントです。 

今思えば夜食としては最適なチョイスでした。(編集部注:田村氏は東京大学理科一類に現役合格しています)

血糖値については「『血糖値が高い』と気にしている人の重大な盲点」でも述べていますのでぜひ参考にしてください。

また、しっかり筋肉がついていることは、血糖値の安定にとても役立ちます。受験生こそ気分転換のタイミングで、こまめに筋力トレーニングをすることをお勧めします。自分の部屋でもできる「スクワット」「腹筋」「腕立て伏せ」など、誰でも知っているメニューに取り組んでみてはいかがでしょうか。

集中力を増すために必要な栄養素

集中力を上げるためにも栄養は大事です。集中力を上げるためにはアセチルコリンやドーパミン、アドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質が大事です。これらの物質を作り出すのはタンパク質、鉄、亜鉛、銅、ビタミンC、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸、ビタミンB12などです。

これらの栄養素を補給できる食品は、卵、牛肉、鶏肉、豚肉、レバー類、カツオ、マグロ、ほうれん草、ブロッコリー、アボカドなどです。

オメガ3脂肪酸も大事です。オメガ3脂肪酸は脳細胞の柔軟性を増してくれる働きがあります。くるみ、青魚、えごま油、亜麻仁油などがオメガ3脂肪酸を多く含んでいる食品です。なお、オメガ3脂肪酸は酸化しやすいのでビタミンCやEなどの抗酸化栄養素を一緒に取るのがコツです。

また受験生には強いストレスがかかりますから、ストレスに負けないための栄養をしっかり取りましょう。ビタミンC、パントテン酸などです。

そして受験シーズンに流行しやすい風邪やインフルエンザ。ビタミンC、ビタミンD、ビタミンA、亜鉛を取って感染症に負けない備えをしましょう。

加えて、受験本番の2~3月に受験生を悩ませるのが花粉症。人によっては勉強が手に付かないほど悩まされることもあります。花粉症対策の栄養素としてはビタミンDとオメガ3脂肪酸がおススメです。ビタミンDは感染症対策、オメガ3脂肪酸は脳細胞の柔軟性にも役立つので一石二鳥です。

これらは摂取してすぐ効果が出るものではありません。体内にある程度の量が蓄積されていることが大事です。意識して前年から取り始めておきましょう。

「栄養の知識」は一生の財産!

受験期は子どもたちの成長期に重なります。成長期は体の成長に栄養素の摂取が追い付かないという事態が起こりがちです。

女子の場合「足りないと女子力が下がる、不足が深刻な栄養素」でも述べたように、月経の始まりとともに鉄をはじめとする栄養素が不足します。女子は中学、高校と進むにしたがって数学など理系の教科を苦手とする子が増えてきますが、その背景に「鉄不足」が疑われます。

一方男子は身体がどんどん成長することに栄養素が使われてしまい、脳に栄養が回らないことが考えられます。

受験生は身体が要求する栄養素を満たしながら、脳が要求する栄養を上乗せする必要があるわけです。しっかり栄養のことを考えて食事を取るようにしましょう。場合によっては「信頼できる品質の」サプリメントを使うものも良い手です。

親御さんにとっては、毎食、栄養バランスが取れた食事を提供するのはちょっと大変かもしれませんが、親御さんも受験生と一緒に栄養をしっかり取って、お子さんの将来のために是非がんばってください。

受験をきっかけに栄養についての知識を得れば一生の財産になります。ぜひこの機会に親子で栄養について学び、活用してみてください。

田村 忠司:ヘルシーパス代表取締役社長

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