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"長期投資のプロ"が語り尽くす2025年相場展望 波乱含みの日本株市場、「いい会社」を探し出せ

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 7時30分

しかし、物事には限界がある。すでにインフレが高進し、金利が上昇している。これが長年続いた株価上昇を崩壊させる嚆矢(こうし)になるとみている。

鎌田 日本について言えば、この12年間、株価は上昇を続けてきたが、肝心の構造改革はほとんど進まなかった。社会構造の変化に応じた構造改革が必要だ。世界的に気候変動問題も生じており、さまざまな部分に歪みが生じている。これらの問題が全体相場の足かせとなる可能性がある。

一方で、個別に会社をつぶさに観察すると、株価はそれほど上がっていないのに、強靭な経営体質を身に付けている会社が散見される。こうした会社は長期のリターンリバーサル(逆張り)効果が期待できそうで、そこは2025年の楽しみの1つでもある。

2つの「25年問題」に注目

──経営体質が強靭な「いい会社」の条件とは何ですか。

鎌田 鎌倉投信が「結い2101」を設定した2010年3月以来、何をもって「いい会社」とするかの基準は変わっていない。具体的には、本業を通じて社会をよくする会社であり、人(人的資本)・共生(自然などとの関係資本)・匠(知的資本)という3要素を丹念に見ている。

これらがそろっていて、価値を向上させられると思える会社が見つかったら、その会社に何度も足を運び、経営者や社員、取引先、製造業なら工場、物販なら店舗などをつぶさに見て回り、投資するかを判断する。そして、一度投資したら基本的に売却しないというスタンスだ。

澤上 今を時めくような会社には投資しない。地味でも、長期にわたって応援したくなる会社に投資する。ここまでは鎌田さんに近い考えだが、違うのは、株価がある程度上昇したら、薄く売却して現金をつくっておく点だ。

10月末時点でさわかみファンドの現金比率は12%。アクティブファンドとしては高いほうだが、これは次の暴落が来たときに安い株価で応援投資をするための資金だ。

本物の投資は将来の社会をつくっていく。そのためにも投資先候補の会社が夢や意思を持って頑張っているかを重視して銘柄を選ぶ必要がある。

──2025年に注目している企業やセクターは何ですか。

鎌田 2つの「2025年問題」を注視している。1つは、日本人の5人に1人が高齢者になること。もう1つは、システムインフラの老朽化だ。この2つに共通する問題意識は「人手不足」に尽きる。社会課題に対応するため、今こそ社会構造の一大転換が必要だ。

カギを握るのが、情報通信技術革新とAI(人工知能)。これらを核にして、あらゆる業界の産業構造が一変するだろう。そして、この流れについていける会社と、そうでない会社の二極化が進む。二極化が進む中で勝ち組になると思われる会社を選別して投資していくことが求められる。

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