米国政府が対中「半導体輸出規制」を三たび強化 禁輸リストに140社追加、製造装置も対象拡大
東洋経済オンライン / 2024年12月12日 16時0分
アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は12月2日、先進的な兵器や軍事目的のAI(人工知能)などに利用できる先端半導体を中国が生産する能力を弱めるため、140社の企業を「エンティティーリスト」(訳注:アメリカの国家安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に追加したと発表した。
【写真】対中輸出が禁じられたオランダASML製のDUV液浸露光システム
BISは同時に、24種類の半導体製造装置、3種類の半導体開発用ソフトウェアツール、AI半導体に不可欠な広帯域メモリ(HBM)を輸出規制の対象に加え、中国の半導体産業に対する圧力をさらに強めた。
幅広い工程をカバー
これに対して、中国商務省は直ちに声明を発表。アメリカ政府の対中輸出規制強化は「あからさまな経済的脅迫行為であり、自由貿易の原則に反する」と強く非難した。
BISがエンティティーリストに追加した企業群の事業は、半導体の製造プロセスにおける幅広い工程をカバーしている。例えばエッチング装置の北方華創科技、電子回路設計ソフトウェア(EDA)の華大九天科技、イオン注入装置の商凱世通半導体などの子会社や関連会社などである。
注目すべきなのは、エンティティーリストに追加された140社の中に、中国企業136社にほかにも日本企業1社、シンガポール企業1社、韓国企業2社が含まれていることだ。
これら4社の非中国企業は、実はいずれも中国の半導体企業とつながりがある。日本の1社は芯源微電子設備の日本法人、シンガポールの1社は中科飛測科技の関連会社、韓国の2社は盛美半導体および華大九天科技の関連会社という具合だ。
2022年から規制強化継続
アメリカ政府が先端半導体技術の対中輸出規制を強化するのは、過去3年間でこれが3度目となる。
半導体製造装置に関しては、まず2022年10月に禁輸対象となる性能の基準を回路線幅10nm(ナノメートル)以下から14nm以下に変更。18nm以下のDRAMや積層数が128層以上のNAND型フラッシュメモリーの製造装置も対中輸出が禁じられた。
さらに2023年10月、アメリカ政府は第三国の半導体装置メーカーに対する規制の網を拡大。その影響により、露光システム世界最大手のオランダのASMLはDUV(深紫外線)液浸露光システムの対中輸出を停止した。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は12月3日
財新 Biz&Tech
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