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実写化に物議【推しの子】ドラマが意外と好評な訳 ビジュアル再現度が全て…ではない!

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 8時45分

また、ドラマの脚本はおおむね原作の流れに準じているが、構成や設定をドラマ仕様に再構築、改変している部分がある。「原作を変更?」と訝しむ方もいるかもしれないが、ドラマ版はこの改変が実に巧みであることにも触れておきたい。

特に脚本の手腕が光っていたのは、主人公・アクアたちが出演する劇中作品「東京ブレイド」の制作過程を描いた章。このドラマ版「東ブレ」編は、原作と比べて取り上げるエピソードやキャラクターを大幅に絞り、構成をシャープにしている。

変更された要素の1つとして、原作【推しの子】では人気漫画の“2.5次元舞台”だった「東ブレ」が、ドラマ版では“月9ドラマ”として描かれるという改変があった。これには複合的な事情があるだろうが、ドラマで描くエピソードを精査した結果、舞台作品であることの必要性が薄くなったことが考えられる。ドラマでは、原作やアニメのように「東ブレ」本編に多くの尺を割けないからだ。

一見すると不安にも思える改変だが、この脚色によって「東ブレ」編の背骨である「メディアミックスにおける脚本問題」や、主要キャラクターに起きる心情の変化など、その先の展開で欠かせないエピソードを丁寧に掘り下げることに成功している。

そのため原作読者から見ても、「東ブレ」のパッケージは変わったが、押さえてほしい場面は収まっているため満足度は高いという評価になる。

これらの構成や脚色の巧みさ、そして原作のキャラクター像を尊重したコンセプトの実現によって、ドラマ【推しの子】は当初の実写化批判を払拭する高い評価を得たのである。

ドラマの実績は劇場版ヒットの助走になれるか

今後気になるのはやはり、ドラマの続きを描く劇場版【推しの子】の行方である。ドラマ版の成果で実写に対してポジティブな口コミが広がりつつあるが、その流れを受けて劇場版がヒットするかというと、過去の事例を見る限りまた別問題のようにも思える。

先週、ドラマ第7・8話が配信されたタイミングで、物語の重要人物・カミキヒカル役に嵐の二宮和也、その幼少期に、映画『怪物』で主演を務めた黒川想矢の出演が発表された。

思わず「その情報は映画公開まで持ち越さなくていいのだろうか」とも感じたが、ここまで周到なプロモーションを展開してきた【推しの子】チームである。筆者の邪推ではあるが、映画公開のタイミングでさらに起爆剤となる情報が用意されていてもおかしくない。

原作が先月でフィナーレを迎え、メディアミックス展開と合わせて総力戦となった【推しの子】プロジェクトの2024年。その集大成ともいえる劇場版が果たしてどんなラストを見せてくれるのか、期待が高まっている。

白川 穂先:エンタメコラムニスト/文筆家

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