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「訪日客バブルなき横浜」でホテル開業ラッシュ 宿泊単価を下げず「東京から近い」弱みを補えるか

東洋経済オンライン / 2024年12月14日 7時30分

国内系でも、不動産大手ヒューリックが運営するザ・ゲートホテル、星野リゾートのOMO(おも)の出店が予定されている。

現状のままホテル乱立となれば、安売りが横行しかねない。そこで各社は付加価値の向上や、販売戦略の転換で客室単価を上げようとしている。

宿泊者限定の体験プランを作っているのが、「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」だ。プラン名は「究極の美術食器の世界」。2人以上で利用でき、料金は1人1万8000円(税別)となる。

大倉陶園(横浜市)の本社工場や一般非公開の展示室を見学できる。大倉陶園はノリタケを中核とする森村グループに属し、高級洋食器などの磁器を製造。その作品は皇室をはじめ迎賓館などで愛用されている。工場見学は大倉陶園のスタッフが案内してくれる。

「カハラに来ないと体験できないアクティビティを提供すれば、富裕層インバウンドを呼び込める」。アマン東京などでチーフコンシェルジュを務めた阿部泰年総支配人は自信をのぞかせる。

一方、老舗の「横浜ベイホテル東急」は、海外のオンライン予約サイトでの販売強化によって、個人のインバウンド獲得を狙う。

「ラウンジサービスなどが利用できるクラブフロアへのインバウンド誘客などで、平均客室単価を上げていきたい。2026年までに3万円以上(現在は約2万8000円)を目指す」。北村裕二総支配人は意気込む。

期待するのは集積効果

東京からの近さが弱みだと指摘される横浜だが、「地の利」を信じるホテル会社もある。

「羽田空港から近く、観光資源も豊富。パシフィコ横浜などのイベント会場もありビジネス需要を見込むことができる」。ヒルトンの日本・ミクロネシア地区開発担当副社長である藤本博久氏は力説する。

同社は「ヒルトン横浜」に加え、2027年には「コンラッド横浜」が開業予定で、横浜での出店を強化している。

ホテル、ニューグランドの原信造社長は、「横浜に訪日客が来ないのは知名度が低いから。外資系ホテルが進出すると競争が激しくなる側面もあるが、集積効果(集まることでより多くの需要が生まれる)も大きく期待をしている」と語る。

インバウンドバブルが来ない横浜で着々と進むホテルの出店攻勢。果たして横浜は、東京や京都に続くホテル業界の新たな金脈となるのだろうか。

星出 遼平:東洋経済 記者

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