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ジム・ロジャーズ「日本経済は歴史的に見て異常」 人口減少と負債増加が同時に起きているヤバさ

東洋経済オンライン / 2024年12月15日 8時10分

合計特殊出生率とは、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものであり、一人の女性が一生の間に産む子どもの数と考えていい。なおアメリカの合計特殊出生率は「1.7」の近辺をここ数十年推移しており、フランスやイギリスも近しい数値だ。

このままの状態が今後も続けば、日本の人口は21世紀末ごろには半数近くにまで減ることは明らかだ。

社会保障の問題も非常に深刻だ。人口が減少するということは、税金や社会保険の担い手が減る、ということでもあるからだ。そして当然だが逆に高齢者が増えていけばいくほど、彼らの生活や社会福祉を賄うために、多くの労働者が必要になる。

このように日本では、高齢者をサポートする年金など、各種社会保障サービスの原資を生み出す人が圧倒的に足りていない。そしてここからがより深刻な問題だが、この先も悪化の一途をたどっていくことが、データとして出ている。

さらに日本は巨額の財政赤字を抱えている。この赤字を、誰が返すのか。こちらも各種社会保障と同じく、現役世代の労働者だ。つまり人口減少、特にお金を生み出す生産年齢が減っていることに加え、負債は増え続けている。この2つが同時に起きている日本は、致命的としか言いようがない。

また、いくら海外からの投資を呼び込んだとしても、それを活用する人材がいなければ長続きしない。このように日本は非常に深刻な問題を抱えており、適切に対処しなければ、40年後、50年後には日本の存在自体が危ぶまれると私は危惧している。

英国病とまで言われたイギリス

このように国が衰退していく状況も、歴史を学べばわかる。ポンドが急落したイギリスの事例だ。イギリスは産業革命を最初に達成した国であり、かつては世界の工場と言われ大繁栄した。

だが、第2次世界大戦後の1960~1970年代にかけて、長きにわたり経済が停滞。フランス、ドイツ、そして日本と次々と他国に抜かれていき、そのような状況を揶揄してヨーロッパからは「英国病」とまで言われた。

工業生産力の減退、輸出の減少、国民の勤労意識の低下、慢性的なインフレ、階級制度、保守的な教育、労働組合のスト頻発など、経済停滞の要因はいろいろと議論され、どれも関係していたと思われる。

中でも私が注目している、日本の状況と似ていると思うのが、労働者が不足しているにもかかわらず、ゆりかごから墓場までと言われるほどの、高度な社会保障制度が整備されていた点だ。

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