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中国企業の対欧投資がハンガリーに集中する背景 親密な外交関係や低い法人税率などが呼び水に

東洋経済オンライン / 2024年12月16日 15時0分

車載電池世界最大手のCATLは、欧州の完成車メーカーからの受注拡大を見据えてハンガリーに大規模工場を建設中だ。写真はハンガリー工場の完成予想図(CATLのウェブサイトより)

中国企業の海外進出熱が高まる中、ヨーロッパ市場への“入り口”としてハンガリーが脚光を浴びている。

【写真】中国のEV最大手のBYDがハンガリーで現地生産している電動バス

「わが国にとって、今や中国はヨーロッパ域外で最も重要な貿易パートナーだ。両国間の貿易額は2015年から今日にかけてほぼ倍増した。ハンガリーは中国からヨーロッパに通じる重要なドアであり、東西をつなぐ天然の架け橋だ」

ハンガリー貿易促進公社(HEPA)のガボール・イェネーCEO(最高経営責任者)は11月26日、北京で開催された第2回中国国際サプライチェーン促進博覧会の席上でそう述べ、中国企業のさらなる投資拡大に期待を寄せた。

対欧投資の半分を受け入れ

ハンガリーは欧州連合(EU)の加盟国であり、ヨーロッパ地域の(中でも地理的に中国に近い)東部に位置する。

2023年の中国とハンガリーの貿易額は130億ドル(約1兆9968億円)を突破し、中国からハンガリーへの直接投資額は76億ユーロ(約1兆2238億円)に達した。これは同年にハンガリーが全世界から受け入れた直接投資額の58%に相当する。

「2024年は中国とハンガリーにとって重要な節目の年になった。中国の対ヨーロッパ投資の半分近くをハンガリーが受け入れたからだ」

ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は11月26日、中国の王毅外相と北京で会談した際にそう述べた。

「中国企業がハンガリーに投資する最大の目的は、わが国を経由してヨーロッパ市場にアクセスすることだ」。財新記者の取材に応じたHEPAのシニア・アドバイザーは、中国からの投資急増の背景をそう説明する。

「ハンガリーは大国ではないが、(外国からの投資に対して)非常に開放的だ。わが政府は貿易と投資を後押しするために、一連の優遇税制を整備した。法人税率はEUで最も低い9%だ」。ハンガリー投資促進公社(HIPA)の幹部は、財新記者の取材に対してそう強調した。

中国とハンガリーの親密な外交関係に加えて、相対的に充実した産業基盤や(ヨーロッパ各地に通じる)物流の便利性も、ハンガリーが中国企業の投資を引き寄せる強みになっている。

車載電池メーカーが続々進出

なかでも目を引くのがEV(電気自動車)用の車載電池関連の投資案件だ。2022年以降、車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、完成車と電池の両方の大手である比亜迪(BYD)、電池大手の億緯鋰能(EVEエナジー)、同じく欣旺達電子(サンオーダ)などが次々にハンガリーでの工場建設に着手した。

それにともない、電池の原材料や中間部材を手がける10社近くの中国企業もハンガリーに進出。それらの合計投資額は100億ユーロ(約1兆6103億円)を超える。

中国の車載電池メーカーにとって、(世界有数の自動車産業の集積地である)ヨーロッパでの現地生産は今や必須の条件と言える。CATLのある幹部は、財新記者の取材に対して次のように語った。

「EUが掲げた『2035年にエンジン車の販売を禁止する』という目標は、これから創出される巨大な市場空間のイメージを描き出した。中国国内の過当競争がエスカレートする中で、ヨーロッパ市場での受注獲得はさらに重要性が増している」

(財新記者:趙煊、劉沛林)
※原文の配信は11月27日

財新 Biz&Tech

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