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中国BYD、部品メーカーに「10%値下げ要請」の波紋 過当競争の中、「価格破壊王」の動きに業界騒然

東洋経済オンライン / 2024年12月16日 17時0分

BYDは2024年のEV・PHVの販売台数が400万台を超える見通しで、中国の自動車最大手にのし上がるのが確実だ。写真は深圳市の本社工場(同社ウェブサイトより)

中国自動車市場で激しい価格競争が続く中、EV(電気自動車)およびPHV(プラグインハイブリッド車)で最大手の比亜迪(BYD)が、部品サプライヤーに対して10%の値下げ要請をしたことが波紋を呼んでいる。

【写真】中国のネット上に流出したBYDの値下げ要請メール

11月26日、同社が部品サプライヤー宛てに送信した電子メールのスクリーンショットが、ネット上に流出したことで明るみに出た。

このメールの中で、BYDは2025年の(EVとPHVを中心とする)新エネルギー車市場が「生き残りをかけた大決戦に突入する」と強調。BYD車の競争力をさらに高めるため、サプライチェーン全体が共同で努力してコスト削減を続ける必要があるとし、2025年1月1日から納入価格を10%下げるよう求めた。

広報責任者が「火消し」

財新記者は取材を通じて、BYDの値下げ要請が事実であることを確認した。同社の部品サプライヤーは8000社を超えるが、そのうち少なくとも数十社が上述のメールを受け取った。

中国の自動車業界内で、BYDは「価格破壊王」の異名をとるプライスリーダーだ。同社の値下げ要請の情報はまたたく間に拡散し、大きな議論を呼んだ。

翌11月27日、BYDのブランド・広報部門の責任者を務める李雲飛氏は個人のSNSアカウントに次のように書き込み、事実上の火消しに動いた。

「部品サプライヤーとの年度末の価格交渉は自動車業界の慣習だ。わが社は大量購買を前提に、部品サプライヤーに対して値下げ目標を提示した。これは決して強制ではなく、交渉の余地がある」

李氏が言うように、完成車メーカーと部品サプライヤーの年度末の価格交渉は古くからある慣習だ。しかし事の本質は価格交渉の是非ではなく、BYDが要求した値下げ幅にある。

「年度替わりの値下げは毎年行われてきたわけではない。だが、完成車市場の価格競争が激しさを増す中で、(部品サプライヤーに対して)以前より大幅な値下げを求めるケースが増えている」。財新記者の取材に応じた自動車業界のベテラン関係者は、そう証言した。

今回のBYDのメールが議論を呼んだのは、その一方的な言い回しや10%もの値下げ要求が驚きを誘ったからにほかならない。

過度のコストダウンに懸念も

前出のベテラン関係者によれば、年度末の価格交渉による値下げ幅は一般的には5%以下だという。部品サプライヤーの利益率は総じて低い水準にあり、仮にBYDの要求をのめば、ほとんどの部品サプライヤーが赤字に陥りかねない。

にもかかわらずBYDが強気の行動に出たのは、同社との取引から得られる規模のメリットをちらつかせて、交渉を有利に運ぶためとみられる。

BYDの月間販売台数は、2024年10月に初めて50万台を突破した。2024年の通期販売台数は400万台を超える見通しで、国有大手の上海汽車集団を抜いて中国首位の自動車メーカーに躍進するのが確実だ。

とはいえ、BYDの好調ぶりは中国自動車市場の全体状況を代表するものではない。価格競争の長期化で多数のメーカーが苦境に立たされており、業界内には過度のコストダウンによる品質低下リスクを懸念する声もある。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は11月28日

財新 Biz&Tech

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