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洋上風力で英BPと提携、「わらしべ長者」のJERA 淘汰が進む洋上風力で世界4位の新会社誕生へ

東洋経済オンライン / 2024年12月18日 8時0分

新会社設立で合意したJERAの可児行夫会長兼グローバルCEOとBPのマレー・オーキンクロスCEO(写真:JERA)

事業者の淘汰・選別が進みつつある洋上風力発電で一大提携が決まった。

【データで見る】JERAの発電容量の大半はまだ「火力」

東京電力と中部電力の合弁である国内発電大手のJERA(ジェラ)と、エネルギーメジャーのイギリスBP社は12月9日、洋上風力事業会社を設立することで合意した。折半出資で新会社を2025年9月末までに立ち上げる。

ロンドンに設立する新会社の社名は「JERA Nex bp」。最高経営責任者(CEO)はJERA、最高財務責任者(CFO)はBPから出す予定だ。出資額は2030年末までに最大58億ドル(約8800億円)とする。

両社が運転中・開発中の洋上風力案件は新会社に移行する。JERA Nex bpの持ち分容量は1300万キロワット。洋上風力最大手のオーステッド社(デンマーク)、RWE(ドイツ)、イベルドローラ(スペイン)に次ぐ世界4位の規模になるという。

追い風となった再編劇

JERAは今後も洋上風力を重要電源の1つとして国内外で開発を進めていく方針。新会社設立によって、資機材の共同調達などスケールメリットを追求していく考えだ。

JERAは東京電力と中部電力の火力部門が統合して2015年に設立された。その成り立ちからもわかるようにJERAが当初保有する再生可能エネルギー電源は皆無だった。

そのような再エネとは無縁だった会社が今や世界最大級の洋上風力プレイヤーの一角を占めるまでになった。JERAの再エネ戦略を統括する矢島聡常務は「(まるで)わらしべ長者だ」と振り返る。

JERAとして再エネ導入に踏み出したのは、2017年のインド再エネ大手、リニュー社への出資にさかのぼる。その後、JERAは洋上風力に経営資源を集中。2018年にイギリスのガンフリートサンズや台湾のフォルモサ1といった洋上風力プロジェクトに参画してきた。

2023年になるとさらに攻め手を繰り出す。海外ではベルギーの洋上風力大手のパークウィンドを買収し、国内では再エネ開発大手のグリーンパワーインベスト(GPI)をNTTアノードエナジーと共同で買収した。

これら再編劇の背景には洋上風力をめぐる厳しい事業環境がある。風車の価格は4年前の2倍弱にまで上昇するなど資機材のコストが上昇している。プロジェクトの遅延も珍しくない。結果、洋上風力事業の取り組み姿勢を見直す企業が相次いでいるのだ。

BPも方針を見直しか

最大手オーステッドは昨年11月、アメリカのニュージャージー州で進めていたプロジェクトの中止を決定した。199億クローネ(約4300億円)もの減損を計上した。一部報道によると、シェル(イギリス)も洋上風力の新規開発を中止するなど事業見直しを進める。

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