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賛否両論「新生ジャガー」は何を狙っているか? 奇をてらったわけじゃない確かな戦略の確信犯

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 13時0分

一方、実物は大きなドアを前ヒンジで上に跳ね上げる、いわゆるガルウィングドアを採用。車内にはなにもない。というのは、ややおおげさだけれど、モニターも操作類も実際に必要なときに現れる設計で、異形のステアリングホイールと、左右席を仕切る「ブリッジ」と呼ばれるセンターコンソールが特徴だ。

ボディの各所には「ブラス」と呼称される真ちゅう色(素材は不明)のプレートがアクセントとして備えつけられ、車体側面のプレートには二次元的表現になったリーパーが(控えめに)鎮座する。

リーパーのデザインをいじったのは、スマートメディアなどへの対応だそうだ。ロールス・ロイスもかつて同様の考えで、シンボルのグラフィック表現を変更したのを思い出した。

これは「物理的なマニフェストです」

車内には、「トーテム」と呼ばれるガジェットが用意されている。アンビエントカラーや香りをプリセットする板状のもので、それを車内のしかるべき位置にはめこむことで、ドライバーが選んだ設定が動き出すというもの。

「マイアミピンク」なる車体色(ゲイドンで見た実物はオフィシャル写真よりもう少し淡かった印象)の車体の周囲で、ときにはドアを開けながら、以上のことを説明された。

ただし、「ここで見せているのは、デザインビジョンで、言ってみれば物理的なマニフェストです」と、前出のスティーブンス氏。

タイプ00の車名にも、意味がこめられている。最初の0は、ゼロエミッション。先に触れた「リイマジン戦略」において、製造工程を含めて温室効果ガス排出量ゼロをめざすと発表されていた。

もうひとつの0は、ブランドの「リセット」だとスティーブンス氏は言う。現在ジャガーでは、既存車種の製造をほぼすべてストップしており、2026年からBEVの生産に乗り出すとされる。

それだけに、今回のタイプ00は衝撃的でなくてはならなかったのだ。それがジャガーのブランド戦略であり、「物理的なマニフェスト」の意味でもある。

「世の中には数多くのBEVが存在していますが、どれも似通っていて実用性重視です。私の眼からすると、まったくそそられない。BEV専用ブランドになるジャガーがそこで勝つためには、正反対の方向に行けばいいと思っています」

さらにスティーブンス氏は「ジャガーは市場の期待を裏切るのが、実は得意なのです」とつけ加える。

「好例が1961年のスポーツカー『Eタイプ』で、『まさかこんなクルマを出すとは!』と世界中を驚かせました。今でも世界でもっとも美しいクルマとして、筆頭にあげられるぐらいです」

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