パナソニック「40年超」続いた品質不正の全実態 約5200製品が該当、海外工場へ不正を"輸出"
東洋経済オンライン / 2024年12月19日 8時30分
「製品の開発中止を避けるため」「開発期間を短縮するため」「出荷停止による混乱を懸念した」「虚偽報告の発覚を懸念したため」
報告書には、品質不正に関与した現場の従業員らの赤裸々な証言が記されていた。
大手電機メーカーのパナソニック ホールディングス(HD)が、品質不正に揺れている。パナソニックHD傘下の電子部品事業会社、パナソニック インダストリー(パナインダ)は、11月1日に外部調査委員会の報告書を公表した。
不正が行われた製品数は約5200品番。今年7月に公表していた153品番から、33倍超へと膨らんだ。パナインダの国内外55拠点のうち、40拠点で何らかの不正行為が発覚。最も古いもので、1980年代から40年以上にわたって隠蔽されてきた。
パナインダが製造しているのは、家電やスマートフォン、PC、自動車など幅広い製品に使われている電子部品だ。影響は同社から電子部品や材料を購入した顧客4000社以上に広がっており、調査は今も続いている。
売上高約1兆円(2023年度)、従業員4万1000人を抱える大手電子部品メーカーであるパナインダは、パナソニックグループの中核事業会社の1つだ。日本のものづくりを支えてきたはずの同社に、いったい何が起きていたのか。
顧客からの指摘がきっかけ
不正発覚のきっかけとなったのは、顧客からの指摘だった。ある電子部品の性能評価を顧客側で実施したところ、要求仕様に満たないことが判明。パナインダが調査を行うと、仕様に満たないことを把握しつつ、顧客には報告しないまま出荷した事実が発覚した。
これを受けてパナインダは、2023年10月に社内調査チームを設置。全社点検を開始した。2023年11月には、後述するアメリカ保険業者安全試験所(UL)の認証に関わる不正が発覚したことから、2024年1月以降は外部調査委員会を設置して、さらなる調査と原因分析を進めた。
認定された93件の不正のうち、調査報告書に掲載された主なものだけでも国内外の幅広い拠点で、長期間にわたってさまざまな製品に関する品質不正が行われていたことがわかる。
例えば三重県の四日市工場、南四日市工場では、1980年代から成形材料や封止材料の品質不正が続いていた。成形材料は自動車や家電の部品に用いられる樹脂材料で、封止材料は半導体素子を覆うための樹脂材料だ。
これらの製品は、アメリカの製品安全規格であるUL認証を受けたとして製造、出荷されていた。しかし実際には、UL認証を受けたときとは異なる材料の配合で製造したものが成形材料で60品番、封止材料で43品番見つかった。
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