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パナ部品子会社の品質不正「社長も隠蔽」の衝撃 検査データ捏造する「スペシャルモード」が存在

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 8時31分

しかも坂本社長は、2022年に報告を受ける以前からこの製品の問題について知っていた可能性が高い。パナインダ社内では2009年2月にこの製品に関する企画会議が開催されており、その場でもこの製品についての問題が議題に上がっていた。

坂本社長はフィルムキャパシタビジネスユニット長(当時)という事業責任者の立場でこの会議に参加していた。

坂本社長は外部委員会の調査に対し「技術的な見地からは実際の仕様様態に照らして安全性に問題が生じることはない」と回答。報告しなかったのは「あえて認証機関や顧客に報告して市場に混乱を招くという選択肢をとる必要はないと考えた」からだと説明している。

本社に不正は伝わらなかった

外部調査委員会は今回の不正について「品質不正の存在が上位層を含めた広い範囲の従業員の間で共有され、長年にわたって継続されてきた」ことが他社の事案と比較した際の最大の特徴だと指摘している。

実際、不正事案の中には開発部門や品質部門など現場の管理職だけではなく、ビジネスユニット長や事業部長など、経営層でありながら本社に不正を報告せず、品質不正の是正や調査を指示しなかったケースがあった。

こうした点も踏まえ調査委員会は「経営者自身の品質保証に対する認識の甘さが今回の品質不正の遠因、背景になっていた」と結論づけている。その上で「より効果的な品質コンプライアンス体制の整備、運用に向けた不断の努力を期待したい」と報告書を結んでいる。

しかし、会社側の信頼回復に向けた取り組みには疑問符が付く状況が続いているのが実態だ。

パナインダは報告書の提出を受けて、11月1日に記者会見を開催した。だが、この会見は大阪の機械記者クラブで実施された。クラブに所属していないメディアには開催が通知されておらず、東洋経済も会見には参加できなかった。

パナインダは2024年2月に東京・虎ノ門に本社機能を移転している。その理由は「ステークホルダーとの“共創”を加速」(同社ウェブサイト)するためで、今年5月には新オフィスで坂本社長がメディアの合同取材に応えている。

月額報酬50%を4カ月分自主返納

東洋経済が入手した会見の録音データによれば、坂本社長は冒頭で「このたびは当社の品質不正によりましてお客様をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様にご心配ご迷惑をおかけしたことを深くお詫びします」と発言している。

本当に「すべてのステークホルダー」に謝罪するのであれば、少なくとも開かれた場で記者会見を行うべきだったのではないか。過去に品質不正を起こした企業と比べても、情報開示に後ろ向きといわざるを得ない。

一連の不正を受けて坂本社長とパナソニックHDの楠見雄規社長は、それぞれ月額基本報酬の50%を4カ月間自主返納すると発表した。パナソニックHDは、グループ全体の不正調査も進めている。徹底した調査による全容解明が待たれる。

梅垣 勇人:東洋経済 記者

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