働き続けるとごっそり"減額"される「年金の盲点」 定年後の再雇用で損しない働き方とは?
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時45分
次にBの「月収」ですが、これは正式には「総報酬月額相当額」のことで、1カ月の各種手当を含む給与に、1年間のボーナスを12で割ったものを足すことで求めます。なおこの場合、税金が引かれる前の金額で計算します。
そして、Aの「基本月額(年金)」とBの「総報酬月額相当額(月収)」を足してみて50万円を超えると、超えた分の半分の年金がカットされます。これが在職老齢年金の計算方法です。
年金がカットされるなんて、本当に悲しくなりますね。とはいえ、この在職老齢年金の年金カットのボーダーラインは、2022年に大きく改正されました! 2022年3月までは「28万円」でしたから、当時は今よりもカットの対象になる人がたくさんいたようです。今の「50万円」はこれでもまだマシなほうかもしれません。
ここで、具体的な数字を入れて在職老齢年金を計算してみましょう。高橋さん(独身・仮名)は65歳で月収40万円、ボーナスが年間120万円、老齢基礎年金が月額6万円、老齢厚生年金が月額14万円だとします。
計算式の「基本月額」は「老齢厚生年金の月額」を指しますので、高橋さんの場合、14万円です。「総報酬月額相当額」は、1カ月分の給与に、1年間のボーナスを12で割ったものを足したものですので、高橋さんの場合、総報酬月額相当額は50万円となります。
つまり、高橋さんの「A基本月額+B総報酬月額相当額」は64万円。年金カットのボーダーラインである50万円を超えています。そのため、残念ながら年金の一部が支給停止となります。
では、年金の支給停止額はいくらかというと、「50万円を超えた分の半分」ですから、計算すると(64万円-50万円)×1/2=7万円。ということは、本来受け取れた老齢厚生年金14万円から7万円が支給停止になるわけです。一方で、老齢基礎年金については、給与にかかわらず全額受給できますので、老齢基礎年金の6万円はそのまま支給されます。
まとめると、高橋さんは本来なら、「月収+ボーナス+年金」で月70万円(平均)を受け取れるはずでしたが、収入が年金カット基準の50万円を超えたため、毎月の年金が7万円カット。その結果、収入が月63万円(平均)に減ってしまう……ということになります。
在職老齢年金は繰り下げ待機中も年金減額の対象!
そのほか、在職老齢年金には、年金減額につながる注意点がもう2つあります。
1つ目は、年金が全額支給停止になった場合に限り、加給年金(『申請しないと「1円ももらえない」年金の"正体"』)も全額支給停止になる、ということです。
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