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「低偏差値校→難関大」合格に導いた先生の教え ほかの先生に理解されない中、受験指導続ける

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 9時10分

太田さんや地井さんは、「難関大学に行きたい」という思いを抱いて、勉強会に参加することに決めますが、今までにしたことのない勉強量だったと語ります。

学校の通常の授業では、1年生の定期試験で『英単語ターゲット1900』を用いた英単語のテストが行われますが、その範囲は200語程度。1年間で1900個の単語までは覚えられないカリキュラムです。

しかし有田先生は、1年生からでも3年生からでも、勉強会に入ると決めた生徒全員に試験の10倍の量である『英単語ターゲット1900』の全単語を1カ月で2~3周させてすべて覚えさせ、そのうえでテストを実施しました。

あまり勉強をしたことのない人にとっては、無謀な課題に思えるかもしれませんが、実際に太田さんと地井さんはその1900語の暗記をやり抜きました。

彼らはその成功体験を通して、自分が「やればできる人間だ」と気づくことができ、受験勉強をするうえで大きな自信になったと当時を振り返ります。

今までほぼ勉強をしたことのない生徒たちはなぜ、進学校を凌駕するほどの勉強をこなせるようになったのでしょうか。生徒たちや、同僚の先生に理由を聞いたところ、有田先生自身が持つ生徒をやる気にさせる声掛けの力が大きいようです。

自信がない子供たちをやる気にさせる

有田先生の同僚の先生は、有田先生の授業を見て衝撃を受けたそうです。

「有田先生は、人の心に火をつける天才でした。『お前らはできる!』と言ったら生徒が信じ込むんです」

有田先生の言葉のどこが生徒に刺さっているのか。同僚の先生に詳しく掘り下げて聞くと、「否定の言葉もすべて肯定の言葉に変えることができる」との答えが返ってきました。

「有田先生は、勉強会の課題ができなかった生徒に対して『お前だったら、これはできると思っていたんだけどなぁ……』と返すんです。

ほかの先生なら、『この問題が解けないなら合格は厳しいよ』と言ってしまうでしょう。彼は生徒を決して否定せず、心をうまくくすぐって、ひたすらできると思い込ませるんです。

また、ほかの先生が同じことを生徒に言っても『無理ですよ』としか返ってきませんが、それは心のどこかで『難しいかもしれない』と思っていることを生徒に見透かされているからでしょう。有田先生は本気で心の底から、生徒の可能性を信じているから、生徒も本気になるんだと思います」

「くじけそうな生徒への声かけが絶対的にうまい」と同僚の先生が語る人心掌握の力が、生徒の頑張りを支えるのには必要な要素のようです。

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