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山陽電車の中堅「5000系」クロスシートの希少感 登場時は3両編成「ハイグレード」普通車だった

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 6時30分

主電動機(モーター)には3000系と共通の直流直巻電動機。一方、制御装置に界磁添加励磁制御を採用した。同社技術部の田中一吉さんは「旧来の吊掛式駆動車は加速が遅くダイヤ上のネックになっていた。5000系で取り入れた界磁添加励磁制御は直流モーターでも回生ブレーキが併用できる。省エネでメンテナンスの手間も減らせた」と話す。

「ハイグレード」な新型車として登場

5000系登場時のパンフレットで鈴木正社長(当時)は「山陽電鉄では、神戸高速鉄道開通に伴う新型式3000系車両を標準型式として昨年まで増備してまいりまして、現在では、これを輸送の主力としておりますが、さらに安全快適な輸送を確保し、ご乗客のサービス向上をはかるため、既存の吊掛式車両をすべて廃車し、その代替として新型式の5000系車両を新製いたしました」と導入の経緯を説明している。

そのうえで「この5000系は、3050系アルミ車両の実績をもとにして、さらに改良を加えた全アルミ車両でありますが、添加励磁式電力回生ブレーキなど最新の車両技術を大幅にとりいれ、性能・経済性ともにすぐれた車両とすると同時にデザインを一新し、クロスシートの採用などハイグレードなものといたしました」と続けており、当時の意気込みがうかがえる。

その後は普通車以外に活躍の場を広げていくことになる。1988年から翌年にかけては3両編成3本が増備され、4両化のための付随車も4両製造。特急としての役割も担っていく。

1991年には6両編成での特急の運行を開始。増備車両の座席は方向を変えられる転換クロスシートとなった。中間車を含めた5000系の増備は1995年まで続いた。

大阪と結ぶ直通特急の主役に

1998年には、山陽姫路―阪神梅田間の直通特急の運行開始に伴い、1997年から2000年にかけて5030系が6両固定編成2本、6両編成化用の中間車8両の計20両が製造された。

【写真の続き】「S特急・阪神神戸三宮行き」「普通・西代行き」など5000系5000編成に様々な種別や行き先を表示

5030系は5000系がベースで一見しただけでは同じような外観だが、交流モーターとVVVFインバータ制御装置を採用した点に違いがある。車内の転換クロスシートは、それまでの2+2列配置から2+1列の配置になった。

2018年に6両編成のリニューアル車が登場。当時の同社のプレスリリースによると、外観は「車両前頭部では、従来からの赤色をさらに強調し側面にも赤ラインを追加することで特急車両にふさわしい格調とスピード感を表現した」という。ハイブリッドSiC素子を用いたVVVFインバータ制御装置により、界磁添加励磁制御装置よりも消費電力を約25%抑えられる、としている。

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