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ついに開始、日本版「信用スコア」の衝撃と不安 期待高まる一方、目的外利用などのリスクも

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 7時55分

一方で、クレジット・ガイダンスの本格活用に伴うリスクを不安視する声もある。

CICの信用情報やクレジット・ガイダンスのスコアの開示・利用は、本人と加盟するクレジット事業者に限定されている。だが、吉元氏は「CICが提供先を加盟社に限定しても、企業の採用や賃貸借契約、その他の継続的な取引を判断するために、加盟社以外の企業が自分のスコアを持ってくるよう強く要請するような悪用が懸念される」と話す。

過去にも、「企業の採用においてCICの信用情報を持ってくるように促し、延滞の有無を判断材料にしていたケースがあった」(吉元氏)という。これらは本来、信用情報の目的外利用に当たるため禁止されている。

情報透明性の確保も課題

情報の透明性も課題だ。クレジット・ガイダンスでは、スコアと合わせて、その算出理由についても記載している。ただし、「未入金がないため、指数にプラスの影響を与えています」など、あくまで簡易的な説明にとどまっている。

消費者にとっては、スコアの高低が生活に大きな影響を及ぼしうることを考えると、より詳細な説明が適切だろう。ただ、細かく開示すると、スコアを利用している事業者に算出方法まで推測されてしまいかねないという事業運営上のジレンマもあるようだ。

CIC担当者は「開示できるものはできる限り開示していきたい」と話し、情報の透明性に向けて開示のあり方を適宜見直していく考えだ。

このほか、債務の延滞などからスコアが低く出てしまう人への対応のあり方も問われている。業界関係者によると、延滞者らに対し返済指導を行い、「スコアの回復」につながる新たなプログラムをCICに提案している事業者もあるようだ。

海外に遅れる形で始まった日本版信用スコア。現状は消費者の間でも肯定的な意見が多く、関心を集めることには成功したと言える。しかし、2025年4月からクレジット事業者への開示が始まれば、前述のようなリスクが顕在化する可能性がある。クレジット・ガイダンスの運用が本格化するに当たり、こうしたリスクへの対処も求められる。

髙岡 健太:東洋経済 記者

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